「日本では世界一の規模の予算危機が起きている。日本の抱える財政赤字の額はGDPの額の2倍超だ。とはいえ、主権国家が債務履行を突き付け、日本がその不履行に見舞われるという危険性はない。海外投資家が保有している日本国債はたった9%か10%に過ぎない。残りの国債は日本の銀行や保険会社が保有している。しかし日本の政府は毎年、その年の国家予算の40%を債務返済に費やしている。その借金の支払いとはまさに、古い国債の償還、新しい国債の発行、そして利息を支払う必要がある利回りの支払いだ。
これに対して、すべての社会需要のためには国家予算のわずが23.5%しか充当されていない。基本的に、日本の年金システムは全人口をカバーしているが、民間の年金基金に比べると、支払い額は多くない。しかし、にもかかわらずGPIFはやっとのことで義務を履行している有様だ。さらについ最近、GPIFで多くの年金受給者の年金が単にどこかに消えていたことが発覚した。そして、消えた年金を背景に大スキャンダルが起きた。状況を複雑にしているのは、複雑な人口動態状況、つまり、社会の高齢化と低い出生率だ。人口統計学者の計算によると、21世紀半ばには、日本の人口はわずか9700万人になる恐れがある。つまり、年金受給者と労働者の比重が、年金受給者の方に大きく傾くということだ。そしてこれは、年金システムへの過大な負荷となる。さらに日本では深刻なデフレ危機が起きている。」
モルガン・スタンレーの試算では、GPIFは9兆8000億円の有価証券を売り、4兆2000億円の株を買う必要に迫られている。残念ながら、日本にとっては何かを変えるには遅すぎるかもしれない。現在、日本全体が、アベノミクスこそ唯一の解決策だとやっきになって証明しようとしている日本銀行に捕らわれの身になっている。