「新たなテロが準備されているという情報が、絶えず届いている。今日、そうした悪事に手を染めようとしている人々の数は、かなり多い。現在のテロは、その規模において、例えば、2011年に米国で起きた同時多発テロのようなものではない。現在テロは基本的に、一人きり、あるいは3人から5人の小さなグループで行われる。それゆえ、彼らの準備を追跡するのはかなり困難だ。ここで思い起こす必要があるのは、テロリストというのは、単なる実行犯に過ぎないという点だ。テロを準備し計画し、金銭的に援助した人々は、おそらく、ダーイシュ(IS、イスラム国)に近い人達だろう。それゆえ、まず第一に立ち向かうべき相手は、テロ事件の結果ではなく、その原因である。敵の領域に行って、そこで戦うことが必要だ。どこかの国の市民が、マインドコントロールされ自爆ベルトをして出かけて行って、自爆する、そのための諸条件が作り出されないようにしなくてはならない。
世界は、テロリストらと戦争状態にある。単独ではなく、調整され一つにまとめられた国際的な努力によってテロリズムと戦う必要がある。ロシアは絶えず、そのことをずっと呼び掛けているが、残念ながら、テロリズムとの戦いにおける協同行動は、現在、政治状況に直接左右されており、決して好ましい状態にはない。
それに対し世界共同体は、我々に対し、彼らこそ全く本物のテロリストであるのに、その明白な事実に目をつぶり、我々が自国民と戦っていると非難した。そしてツインタワービルが米国で倒壊した後やっと、そのレトリックが変わった。米国人達は、ロシアにやってきて、自分達は立場を見直したと言い出したのだ。 彼らは、テロリズムといった国際的な悪が実際に存在しているようだと認めた。その時初めて、いかに効果的に力を合わせ、彼らと戦うべきかという問題が話し合われるようになったのだ。結局我々は状況を解決し、ロシアにおけるテロの危険のレベルは、その後かなり低くなった。
しかし今日、テロリズムとの戦いにおいて、力を一つに結集することに向けた我々の交流のレベルは、最も低い段階にある。これは、悲しむべきことだ。何らかのコンタクトはあるが、それらは、5年前に存在していたものの何分の一にしか過ぎない。その結果、何の罪もない人達が苦しむこととなっているのである。」