児玉さんは20年以上前からロシアで暮らしている。今は夫と一緒に2人の子供を育て、ロモノーソフ名称モスクワ国立大学ジャーナリズム学部付属の日本センターで日本語を教えている。児玉さんはこの仕事が大好きだという。
児玉さんは北海道の札幌市で暮らし、北星学園大学に入学、ロシア語を学び始めた。児玉さんは「ロシアは私にとって全くもって新しい国でした。私はロシア文化に大きな関心を抱きました。そしてロシア語を勉強すればするほど、ロシア語が好きになりました」と語っている。
1992年、児玉さんはモスクワに1カ月ホームステイをし、ロシア語を勉強する機会を得た。ロシア人たちは親切だった。地下鉄では移動の仕方が分からないのではないかと心配して常に声をかけてくれたという。児玉さんは、優しくて思いやりのあるロシア人に魅了された。児玉さんは、「このように親切にしてもらうのは、いつでも気持ちのよいものです」と笑顔を見せる。
「私は彼を愛しています。彼がロシア人だからではありません。彼が彼だから好きなんです。」
児玉さんは大学のロシア語だけでは物足りなくなり、日本人がロシア人と交流できる言語サークルに入った。そのサークルである時パーティーが開かれ、そこで未来の夫となるデニス・イサエフさんと知り合った。その時イサエフさんは北海道大学に留学していた。児玉さんとイサエフさんは交流を始め、次第に愛情を抱き合うようになった。児玉さんは、すべては「とても自然」な成り行きだったと語る。
スプートニク:イサエフさんのどんなところに惹かれたんですか?
児玉さん:彼はとても優しくて素敵な男性でした。私は、何かをしようとする時に常に私を支えてくれる人と結婚したいと思っていました。もし周りの人が全員私には無理だと言ったとしてもです。デニスはまさにそういう人でした。私にとって国籍は重要ではありません。私は彼がロシア人だから彼を愛しているのではなく、彼が彼だから愛しているんです。
国籍は関係ない
国際結婚したカップルを悩ませる問題の一つとして、「外国人との結婚に対する家族や親戚、友人たちの反応」を挙げることができるではないだろうか?児玉さんは、次のように語っている-
「誰も反対する人はいませんでした。結婚するまでに私たちは4年間交際し、その間に私はデニスを私の家族全員に紹介しました。みんな彼のことを気に入ってくれました。デニスの国籍について問題が生じたことは一度もありませんでした。」
スプートニクは児玉さんに、「自分とは違う環境で育った人との関係ではどのような難しさがあると思うか?」、「共同生活の中で、日本人とロシア人のメンタリティーの違いを感じたことはあるか?」と質問した。
だが児玉さんは、「でも私たちはそれほど違っているわけでもないんです」と語る。児玉さんは、「私たちの文化は似ていない、ということを聞きたい人もいるかもしれませんが、そうでもないんです。私は夫と文化的障壁あるいは行動障壁を感じたことはありません。最終的には愛です。これが人々を一つにしているんです」と指摘する。
感情を表に出さない日本人と情熱的なロシア人:これは本当?
「日本人は自分の感情を表に出さない」が、「ロシアでは町の中でキスをしている情熱的な若者たちをよく見かける」という意見がある。これは本当だろうか?児玉さんは、次のように答えてくださったー
「日本人は実際にとてもつつましやかな人たちです。日本人は人前でキスをしません。手をつないで歩くくらいです。日本人の愛は目が語ります。目を見れば愛しているのか、それもと愛していないのかがすぐにわかります。とはいえ私はこれが民族のメンタリティーと関係があるとは思っていません。これは恐らくしつけの問題でしょう。ロシアでは実際にキスをしているカップルを目にすることがあります。でも、そうでない人も少なくありません。私は、もし教養のある人であれば人前でキスをすることはないと思います。」
児玉さんによると、日本人男性はより現実的だという。日本人の男性はデートを計画するのが得意だ。デートの場所もしっかり選ぶ。一方でロシア人は詩を書いたり花をプレゼントする。ロシアで暮らす児玉さんは、ロシアの若い男性たちが花を持ってデートに訪れるのが好きだという。なお日本人の女性たちは「花を持ちながらでは歩きづらい」と、より現実的に判断する。
全体としてロシア人と日本人の男性は似ているという。特に今はロシアの男性も日本の男性も家事に参加し、妻の手伝いをするようになった。
子育て
児玉さんとイサエフさんの間には息子のスヴャトスラフ君(11歳)と娘のナースチャちゃん(7歳)がいる。2人は国籍に違う両親の間に生まれたため2か国語を話す。父親と父方の祖母とは常にロシア語で、児玉さんとは日本語のみで話をする。子供同士で話をする時も日本語だという。この規則は家族全員で夕食をとる時にも守られる。
スプートニク:子育てではロシアと日本の文化を同じように取り入れていますか?
児玉さん:もちろんです。例えば私たちの家族は日本の祝祭日もロシアの祝祭日も祝うようにしています。2月3日には節分、春にはパスハ(復活祭)を祝い、卵に色付けをして、教会に行きます。
児玉さんは、これによって子供たちが差別をしない人間になることを願っている。この世には様々な人がおり、様々な文化がある。この世界で自分だけが正しいと考える人は、生きるのが難しくなる。
忍耐は成功への鍵
スプートニクは児玉さんに、これから結婚しようと持っている国際カップルへのアドバイスをお願いした。
児玉さんは、「忍耐、そして欠点を許すことが大切です。なおこれは国際カップルだけでなく全てのカップルにも言えることでしょう。いずれにせよ、もしあなたの愛が本物であれば、必ず全て上手くいくはずです。全ての困難は克服ですることができます」と語ってくださった。