まずこれは厳しい移民政策と関係している。事実上の禁止政策は、日本が多民族国家であり続け、イスラム諸国などから移民労働者を大量に受け入れないことを可能としている。これは日本には国内でテロが発生する社会基盤がなく、自分の国は比較的安全だと感じていられることを意味しているのだろうか。ロシア人政治学者で日本と国際関係の専門家であるドミトリー・ストレリツォフ氏は、「スプートニク」のインタビューで次のような見解を表している-
「この観点から日本は欧州とは異なっており、実際に欧州諸国よりも安全だ。一方で過激主義の社会基盤とイスラム国家を支えている人的資源は主に外部から入ってくる。中東には宗教的狂信者だけでなく、欧米型の生活スタイルや価値観に失望した一般の人たちも訪れている。生活の新たな意義を見つけようとしてテロリストに加わる失敗者たちもいる。彼らの多くはあらゆる攻撃的なプロパガンダに乗る用意がある。このような人々は西洋型の激しい競争社会に辟易し、大勢の人が西洋の自由主義の価値観に疑問を持っている。このような人々はあらゆる社会、あらゆる国にたくさんいる。この意味において日本も例外ではない。」
1960年代末から日本は、同国からフランスまで世界中で一連のテロを起こした「赤軍派」後の「日本赤軍」などのテロ組織の深刻な攻撃を受けた。日本の左翼テロリストらは権威主義的スタイルや、他人の死をものともしないことなどで際立っており、これは今日テロ組織「ダーイシュ(IS、イスラム国)」も幅広くデモンストレーションしている。25人が死亡、72人が負傷した1975年のロッド空港の虐殺の後に組織は解散し、日本から去った。一方でストレリツォフ氏は、これが日本テロの発生を抑えたことにはならないとの見方を示し、テロリズムはその姿をよく変えると指摘し、次のように語っている-
「人々はその後、テロ活動の温床となった全体主義的なセクトに入った。これはオウム真理教のケースが明確に示した。日本は過激派組織のこのようなプロパガンダ的活動からの安全を保障されてはいない。しかし私はこのリスクを誇張はしない。日本には非常に効果的な警察の管理システムがある。オウム真理教の事件が起こったとき日本はすぐにこの悲しい経験を処理した。そのため私は日本にテロ組織が実際に生まれる大きな脅威があるとは実のところ感じてはいない。イスラムタイプのテロ組織はなおさらだ。さらに日本は島国であり、陸上の国境もない。海あるいは空から逃げるしかなく、すなわち欧州とは異なり日本の国境は十分に明確だということだ。数少ない外国人は、指紋採取を含む厳しい移民管理の下に置かれている。外国にいる日本国民への外的脅威の方が問題となっている。」
同意見の正当性は、2015年にジャーナリストの後藤健二さんを含む日本人2人が「ダーイシュ」に殺害された事件が証明している。後藤さんを殺害する前に「ダーイシュ」の黒い覆面の男が英語で日本の安倍首相にこれは日本にとって悪夢の始まりにすぎないと述べた。安倍首相は、「ダーイシュ」の非人道的行為に対する軽蔑の念と憤りを表した。残念ながら、普通の人間には理解できるこのような当然の感情が、未だにテロリストらの新たな攻撃の歯止めにはなっていない。