ピオネール社のディアナ・ニリポフスカヤ執行役マーケティング担当は次のように語っている。
「プロジェクト策定には日本人の設計家たちが加わりました。その設計家たちが提案したのは設計上のソリューションで、こういったものはロシアではあまりありません。このソリューションのおかげでユーザーの希望に従って床面積をひとつにまとめたり、区分けしたりするバリエーションが選べます。このほか、住居では外壁も内装も日本の建材が用いられます。『ボタニーチェスキー・サード』のマンションの特徴のひとつに日本人のいう『揺らぎ』が挙げられます。日本では昔から建築の要素を上下に、左右に入れ替えるという手法で自然の移り変わりを表現する手法がとられてきました。これがタワーのファサードにまさに表現されています。」
現在、日建設計はピオネール社とともに交通結節点プロジェクト(TOD=Transit Oriented Developmentとも呼ぶ)を策定している。これはモスクワ、また欧州最大の公園に近いことから、居住棟と同じく「ボタニーチェスキー・サード」という命名されている。TODの範囲で総合居住空間はモスクワ環状鉄道、地下鉄、バス、自動車道とつながる。日建設計はロシアでこれまでに「新モスクワ」開発プロジェクト、「モスクヴィチ」自動車工場跡地の再利用、サンクト・ペテルブルグ、ニージニー・ノブゴロド、クラスノヤルスク周辺の新たな衛星都市などのマスタープランに参加してきた。
先日、ユーリー・トルトネフ副首相兼ロシア連邦極東管区大統領全権代表も「飯田社の立場は非常に好意的なものだ。飯田は沿海地方、ハバロフスク地方でのプロジェクトに取り組んでおり、彼らが作業を行なうセグメント、木材加工はロシアにとって最優先的な意味を持っている」と語っている。
モスクワではもうすぐホテル東横インの第1棟の建設が開始される。東横インはモスクワでも一番にぎやかなレニングラード駅、カザン駅、ヤロスラブリ駅の3駅から数百メートルの場所にすでに予定地を決めている。東横インはモスクワ、サンクト・ペテルブルグに5-6の3つ星クラスのホテルの建設を見込んでいる。「モスコムトロイインヴェスト」社のコンスタンチン・チモフェーエフ代表は「このチェーンのホテルはエコノミークラスをターゲットにしたものだ。東横インは1泊50-60ドルで宿泊可能という企業コンセプトをキープしたいと考えている」と語っている。この価格帯が地価の高いモスクワで果たして実現できるだろうか? とはいえモスクワの地価は東京ほどは高くないに違いない。
先に伝えられたところによると、日本の安倍首相は9月にウラジオストクでロシアのプーチン大統領と会談することを見込んでいると述べた。