五輪に向けた準備と大会開催は、日本経済の発展を強く後押しし、日本復興の象徴となった。
2020年東京五輪の大会ビジョンでは、「スポーツには世界と未来を変える力がある」とされ、「『すべての人が自己ベストを目指し(全員が自己ベスト)』、 『一人ひとりが互いを認め合い(多様性と調和)』、『そして未来につなげよう(未来への継承)』を3つの基本コンセプトとし、 史上最もイノベーティブで、世界にポジティブな改革をもたらす大会とする」と謳われている。
「私たちは、スポーツには世界と未来を変える力があると思っています。1964年の東京大会は日本を大きく変えました。私たちは2020年の東京大会を、全ての人が自己ベストを目指し、一人ひとりが互いを認め合い、そして未来につなげよう、というこの3つをコンセプトとして、史上最もイノベーティブで、世界にポジティブな改革をもたらす大会とするということをコアビジョンとしています。最初の『全員が自己ベスト』についてですが、私たちはアスリート・ファーストというのを非常に重視しており、準備と運営をしっかり行い、安全・安心で全てのアスリートが最高のパフォーマンスを発揮して自己ベストを記録できるような大会にしたいというのが一つあります。その自己ベストというのはアスリートだけではなくてオーガナイズするほうとしても、やはり日本が誇るその時の最高水準のテクノロジーを競技会場の整備や大会の運営に活用するということもありますし、また多くの方がボランティアとして働いてくださることになると思うので、そういったボランティア、あるいは一般の日本人の方が東京大会に訪れる多くの方々をまさに最高のベストなおもてなしで歓迎したいというイメージをこの1つ目の『全員が自己ベスト』というコンセプトの中に含めています。2番目の『一人ひとりが互いに認め合う』というものは、『多様性と調和』と呼んでいますが、英語では『 Unity in Diversity』といいます。これはまさに今世界で非常に重要なことだと思います。人種や性別、言語や宗教、障害の有無といったようないろいろな違いをお互い認め合いながら受け入れて、そういった中で進歩していきたいというイメージのコンセプトで、私たちはこの東京2020大会を世界の方々が多様性と調和の重要性を改めて認識し、共生社会を育む一つのきっかけになるような大会にしたいなと思っています。3番目の『未来へつなげていく』というのは、未来への継承、英語でいうとConnecting to Tomorrowということですが、これは(東京五輪が開催された)1964年というのはその後の日本の発展にとっても非常に重要な意味がありましたし、いろんなレガシーがありました。それを機に日本のインフラが一層整い、高度経済成長がさらに加速したといういろんなきっかけを与えてくれた大会でしたが、2020大会のほうは、日本はもう成熟した国家でありますので、そのハードなレガシーだけでなくてソフトなレガシーといったようなことも含めて世界にポジティブな変革をもたらしていきたい、なるべく未来に継承していけるようないろいろなレガシーを追及していきたいという点を含んでいます。」
「私たちはこの東京2020大会を史上最もイノベーティブな大会としてポジティブな変革をもたらしたいと思っています。それはテクノロジーの面ではたとえば水素技術を活用した環境にやさしい水素自動車を入れて活用したり、多言語翻訳というMultilingual Translation Deviceというような技術開発や、あるいは今皆さんがもっているスマートフォンやICT技術を利用してスポーツに関連した情報データを発信するなど、そういったことを技術面ではやりたいと思っています。そして同時に日本が大切にしている、伝統的に私たちにはいらっしゃる方をおもてなすという、おもてなしの精神がございますので、それがいろんなところにあらわれるような形にしたいと思っています。」
小野氏は、「スプートニク」のインタビューで、日本人はオリンピックが好きだと述べていた。それが自国開催となれば東京五輪への関心は保障されたも同然だ。さらに東京オリンピックでは日本で最も人気のあるスポーツの一つ、野球が競技種目に加わる。なお2020年東京大会組織委員会は、オリンピックとパラリンピックの開催だけではなく、スポーツに日本の住民をひきつけることも課題に掲げている。
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会のスポークスパーソン、小野日子(おの・ひかりこ)氏へのインタビューは、「ポッドキャスト」でお聞きいただけます。