CIS諸国研究所のウラジーミル・エフセーエフ副所長は、スプートニク日本のエフゲーニヤ・モイセーエワ記者のインタビューの中で、ソ連崩壊から4半世紀の間に「新グレートゲーム」は、すでに古くなってしまったとの考えを示した。彼の意見によれば、主要なプレーヤーのうち2つ、つまりロシアと中国が、上海協力機構やBRICSといった機構の枠内で協力に入ることができ、今や中央アジアで数々の共同プロジェクトを実現させている、しかし米国は現在、他の地域での紛争に参加していることから、この地域における自らのプレゼンスを絶えず弱めざるを得ず、ロシアや中国を同時に抑え込むことができない、とのことだ。
アフガニスタンにおける米国のプレゼンスの縮小は、客観的に、中央アジアにおける彼らの役割を引き下げてしまった。米国はそれを、新しい協同行動のフォーマットの助けを借りて埋め合わせようと試みた。ヒラリー・クリントン氏は国務長官時代「新シルクロード」という概念を積極的に推し進めたが、この構想は、それほど実現されなかった。
エフセーエフ副所長は、2015年11月、米国のケリー国務長官が、サマルカンドを訪問し、中央アジア5カ国に米国をプラスした「С5+1」という新しいフォーマットを提案したことに注意を促している。しかし副所長は、中央アジア諸国外相のワシントン訪問が実りのないものであったことを思い起こしつつ、米国のリソースが不足しているため、このプロジェクトの成功にも期待をかけるには及ばないとし、次のように指摘した-
米国は、中央アジアに注意を向けないでいるつもりはないが、彼らに自分のリソースを投入するつもりもないだろう。エフセーエフ副所長は、中央アジアにおける自分達のプレゼンスを保持するために必要不可欠な費用負担を他の国々、特に日本に負わせようと試みていると指摘している。日本には「中央アジア+日本」という名のこの地域との独自の協同行動フォーマットがある。その枠内で昨年10月、安倍首相は、初の中央アジア・モンゴル歴訪を行ない、総額270億ドルの契約を結んだ。
エフセーエフ副所長は「日本は自身のゲームをしている」と確信しており、米国が、この地域に自分達の影響力を伝える存在として利用しようとしたトルコも同様に自分のゲームをしていると考えている。副所長は、インタビューの最後を次のように締めくくった-
「事実上、米国には、中央アジアにおける自分達の利益のため必要不可欠な費用負担を肩代わりしてくれるような国はない。それ故、この地域での米国の立場は、必ずや弱くなってゆくだろう。一方、ロシアと中国、そして他の若干の国々の立場も強くなってゆくだろう。私は、日本が今後さらに積極性を示すだろうと思っている。韓国、イラン、トルコもそうだ。加えて各国は、自分達の領域で活動している。例えば、教育の領域では、まさにトルコと日本が積極的に活動している。」
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