ロシア科学アカデミー極東研究所日本調査センターのヴィクトル・パヴリャテンコ主任研究員は、情報通信社「エコノミカ・セヴォードニャ」の取材に応じ「今回の招待は、1945年に米国人達がどれだけ野蛮な行為をしたかを強調しようとする日本政府の試みだ」と指摘した。
パヴリャテンコ主任研究員は「このプランにより、プーチン大統領は、今年のG7伊勢志摩サミットの際、広島だけを訪れた米国のオバマ大統領を『凌ぐ』ことになるに違いない」と見ている。
主任研究員は、次のように述べた-「ロシアにとってプーチン大統領の広島・長崎訪問には、何らかの特別な意味がないことは明らかだ。なぜなら我が国は、これまで70年間ずっと、これら米国の原爆投下を非難してきたからだ。この問題に関するロシアの立場は、首尾一貫しており、皆が良く知っている。ここではロシアは常に、日本の側に立ってきた。ゆえに、プーチン大統領がそうした訪問をしても、何も新しいものはないだろう。」
パヴリャテンコ主任研究員によれば、この歴史の中に、裏に隠された一定の意味を見つけることができるというのは、また別の問題である。あの戦争で同盟国だった米国を、ロシアが非難し、当時戦っていた日本の側に立つことになるからだ。研究員は、次のように続けた-
「これは、日本と政治的に接近しているというデモンストレーションだ。モスクワの側からではなく、むしろ日本側からの一歩である。ここで日本人達は、自分達の路線を続けている。それは、彼らがウラジオストクでの第2回東方経済フォーラムで示したもので、その時、日本政府は、ロシア政府との関係発展を目指す意向を示した。そもそも日本のロシア政策の中には、大変多くの様々なデモンストレーションがあったが、今のところ、それは、何らかの実際的成果をもたらしてはいない。」
それゆえ、パヴリャテンコ主任研究員によれば、今日、大変深刻な疑いが存在している。プーチン大統領は、議論の余地ある措置に踏み出すだろうか、まして訪問は、オバマ氏の行動に似ているとの類推をすぐに呼び起こすのではないのかというものだ。
最後に、ペスコフ大統領報道官の発言に注意を促したいと思う。彼は、日本側からプーチン大統領あてに送られた広島・長崎両市訪問の招待状は、現在、外交ルートで調整がなされていると述べている。
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