田上市長「長崎の街は71年前の経験をもとに、被爆者が体験した悲惨な思いを二度と、世界中の誰にもさせない、という思いと、長崎を最後の被爆地にしようという強い決意で、広島市とともに核兵器廃絶を訴えてきました。世界中にたくさんの平和市長会議の仲間もいます。日本国内には全部で1800ほどの自治体がありますが、そのうち約9割の自治体が非核宣言を行っていて、国内の反核の世論は非常に高いと思っています。これをより恒久なものにしていくために、長崎平和宣言を通し、これまでも非核三原則の法制化や北東アジア非核兵器地帯構想について求め、提案し続けてきました。」
北東アジア非核兵器地帯構想とは、日本・韓国・北朝鮮の3か国を非核兵器地帯にしようとする試みだ。この地帯が非核兵器地帯として完成するためには、3か国に核兵器が存在せず、近隣の核保有国(米国・ロシア・中国)が、これらの国々を核兵器で攻撃しないことが条件になる。北朝鮮は核実験を強行に繰り返しており、朝鮮半島の非核化は困難な状況だ。
田上市長「長崎平和宣言でも申し上げたように、被爆の実相を知るということは核兵器のない未来を考えるスタートラインだと思っています。特に核兵器保有国のリーダーの皆さんに被爆地を訪問して頂き、原子雲の下で人間に何が起きたのかを知ってもらいたいのです。核政策や核軍縮を議論するためには、被爆の実相を正しく理解して頂くことが重要で、そのためにも訪問は大きい役割を果たしてくれると考えています。特に長崎は歴史的にもロシアとの様々なつながりがありますから、プーチン大統領の長崎訪問が実現するならば、長崎市として歓迎申し上げたいと思います。」
長崎は幕末、レザノフやプチャーチンが来航しロシアとの窓口となった。かつて長崎にあったロシア領事館は、原爆投下で破壊されてしまった。