ロシアの大学は伝統的に理系が強い。モスクワ大学は現在、スパコン「ロモノーソフ2」の能力向上や人工衛星「ロモノーソフ」を始めとする宇宙研究プログラムに注力している。また「ノアの箱舟プロジェクト」という長期計画にも取り組んでいる。これは全世界に存在している生物の細胞を収集し、保護し、永久に保存するというものだ。
文部科学省高等教育企画課・国際企画室の岩渕秀樹室長は日露間大学交流について「日本がロシアに提案している8項目の経済協力プランのうち、7番の『先端技術協力』と8番の『人的交流の抜本的拡大』は、大学が大きい役割を果たす項目です。安倍首相も、日露の大学間交流を倍増させるべきだと述べています。来年度の予算はまだ決定していませんが、文科省は日露大学間交流のための予算を確保し、各大学が新たに交流を開始できるようサポートしていきます。来年秋には、6つの大学が交流を開始できるようになると見込んでいます。」と述べた。
ロシア研究、特に人文学分野において老舗的存在の早稲田大学。早稲田大学文学学術院の坂庭淳史教授は、早大はロシア研究拠点としての長い伝統があるため、図書館の蔵書量、学内で蓄積してきた研究、そして個人レベルでの繋がりにおいてもアドバンテージがあると話す。しかし他大学が意欲的にロシアにコミットし始めていることについては「うかうかしていられないと思っています」と話す。ロシア人気は安定しており、文学部のロシア語ロシア文学コースはここ数年、常に定員超えになっている。また、早稲田大学は学部を超えた研究者・教員の集まりであるロシア研究所も設け、社会科学分野でも頭角を現している。
フォーラムの共同議長を務めた東北大学の里見進総長は挨拶の中で、日露の経済関係が好転していることに触れ、日本とロシアはまだポテンシャルを生かしきれておらず、交流の深化には至っていないが、今後大きく発展する可能性を秘めている、と期待を示した。