プーチン大統領の最後通告

© 写真 : Rudi Riet米国防総省
米国防総省 - Sputnik 日本
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ロシア大統領の兵器用プルトニウム処理に関する露米合意順守の停止に関する指令が出されると、メディアでは、そのこととシリアにおける取引の破綻との関連について議論が始まった。なぜロシアが米国による不履行を知りながら数年後になってやっと反応したのかという点は第二の疑問だ。スプートニク評論員ロスチスラフ・イシチェンコ氏が述べた。

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一部の原子力専門家は、取引は原子力産業の観点からロシアにとり客観的に有益だったと見る。安全保障に関しても特に問題はなかった。ロシアは米国に致命的な打撃を与えるのに十分な核兵器を保有していた。シリアについては、米国が契約を結び、順守を拒み、また別の契約を結ぶということは、シリアがはじめてではない。

事の重大性を理解するために、プーチン氏が当の条約からロシアを離脱させたというわけではないという点に注意を払う必要がある。条約への復帰の可能性はある、とされた。ただし、そこには一定の条件がつけられた。米国のロシアに対するすべての制裁措置の廃止、米国の制裁とロシアの対抗制裁による損失に対する賠償金の支払い、マグニツキー法の廃止、東ヨーロッパにおける米国の軍事的プレゼンスの大幅削減、モスクワに刃向かう政策の終了。このプーチン氏の要求は一語で言って、最後通告である。

プーチン氏は謝罪など求めていない。求めているのは米国のあらゆる政策の変更である。これは不可能な、屈辱的な要求だ。事実上、これはハイブリッド戦争における完全かつ無条件の降伏の要求であり、しかも賠償や補償金の支払いさえ含んでいる。プーチン氏は意図的に、誇示するかのように米国を辱め、米国などとは、残りの全世界に対して慣習的に使っていたような口調より、むしろ厳しい口調で話してよいのだということを示した。

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しかし、プーチン氏は実際、何に応答したのか。彼は米国がシリアに関する取引を守ることなど期待していなかった。そのために落胆したのでもあるまい。米国が何年もプルトニウムに関する合意を守っていないこともロシアは関知していた。しかし、今やプルトニウム加工の分野でモノポリストとなったモスクワは、米国が技術的に遅れて兵器用プルトニウムを加工できなくなったことに不安を覚えるわけがなかった。

米国国務省の報道官が声明を出し、ロシアはシリアから死体袋で軍人を贈り始めるだろう、ロシアはシリアで飛行機を失うだろう、ロシアの諸都市がテロに遭うだろうというと、すぐにロシアは強硬な反応を示した。国務省報道官のすぐあとには国防総省のロシアに対する先制核攻撃の用意があるとの声明も出た。ロシア外務省は、米国がシリア政府軍に対する空爆開始の意図があるとモスクワは知っている、と発表。シリア政府軍に攻撃が加わるということは、シリアにおける合法的に配備されたロシア軍にも攻撃が加わるということだ。

オバマ政権下、緞帳の向こうで、タカ派はまたしても掛け金を上げた。そして、紛争がもはや自律的に発展するまで、事状況を加熱させてしまった。こうなればもはやあらゆる偶然から核のアルマゲドンが発生してしまいかねない。たとえば、ペンタゴンやホワイトハウス高官のささいな不適切な行動から。

まさにそうしたタイミングでロシアはイニシアチブをとり、対立を新平面に移行させることなく掛け金を引き上げた。アメリカと違いロシアは戦争の脅威をあおったりしない。ロシアは単に強硬な政治経済的応答の可能性を示したのだ。米国に選択が提示された。自らの脅迫を実行し、核戦争を始めるか、世界はもはや一極ではないと認め、新フォーマットに組み入ろうとするか。米国がどう応えるかを見てみよう。しかし地政学環境は従前とは異なる。世界はもはや変わった。米国に挑戦状がたたきつけられたが、米国にはそれに応える勇気がない。

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