日本のリゾートホテル採用に新風、やる気と情熱のあるロシア人、大歓迎!

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ロイヤルホテルのブランドで有名な大和リゾート株式会社(東京都江東区)は、ロシア人社員を採用するため、21日・22日にモスクワ大学内の日本センターで採用説明会を行った。日本で働きたいという夢をもつ若者が多数集まり、採用担当者の説明に熱心に耳を傾けていた。説明会、質疑応答、面接は全て日本語で行われた。日本風に、リクルートスーツを着込んで参加した学生もいた。

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ロイヤルホテルは地域に密着したリゾートホテルで、日本各地の豊かな自然、歴史、食の魅力を楽しむのにうってつけだ。外国人客はすでに全体の2割弱にまで達しており、今後も増えていくことが予想される。外国人従業員の視点、ユニークな考え方やアイデアをホテル経営に生かしていきたいとの思いから、ロシア人を含む外国人を、日本人と同じ待遇で採用することを決めた。

今回、大和リゾートが採用を見込んでいるのは、フロント担当だ。通訳を兼ねるフロント業務でなければ、外国人が日本の就労ビザを得ることは難しいためだ。ロイヤルホテルのフロントはホテルによって独自のコンセプトがあり、モダン、和風、地中海風などバラエティに富んでいる。同じチェーンであっても、別のホテルかと見紛うほどだ。

大和リゾートには、リゾート地において成功を収めているロイヤルホテルとは別に、大阪、京都、名古屋などの都市部にコンパクトタイプのシティホテルを作る構想もある。シティホテルでありながらリゾートの特徴を生かし、清潔、安心安全、お手頃価格を追求するという。このようなシティホテルを全世界に100か所、展開していきたいということだ。シティホテルが開業すれば、そこでロシア人スタッフが働くという可能性もある。また、ホテル運営だけでなく、旅行事業もこれから新たに展開していく計画だ。

大和リゾートの採用のコンセプトはやる気と情熱。やる気と情熱さえあれば、今ある能力や年齢、性別は問わない。そして外国人であっても、フロント担当からホテル総支配人になることも夢ではない。大和リゾート株式会社・人事課の苅野由季(かりの・ゆき)課長は、次のように話している。

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苅野課長「日本で常識だと思っていたことが、常識ではなくなっていく時代が来ました。外国人のスタッフの皆さんの力を借り、固定観念を打ち破り、凝り固まった常識をなくしていきたいのです。外国人社員は今まで15名程度でしたが、今年から外国人の採用活動を重点的に開始していて、まずは世界各地から100名採用することを目標にしています。入社後は合同研修が1週間あり、その後は現場で、働きながら仕事を覚えていただきます。外国人スタッフに合わせた研修プログラムも、これから増やしていく予定です。昇進にあたって外国人だから、日本人だからという区別は一切ありません。」

ロシア人にとって仕事内容以外に魅力なのは、福利厚生だろう。大和リゾート株式会社の福利厚生は、ホテル業界でも日本一のレベルだ。入社にあたってのロシアからの引越し代、飛行機代も会社が負担してくれるので、初期費用の心配をしなくてよい。寮や企業年金も完備されており、雇用形態は終身雇用だ。住むところや、雇用契約の打ち切り、将来の生活の心配をせず、安心して仕事に打ち込める環境が揃っている。ロシアは、就業経験の少ない若者であれば半年、キャリアがあっても一年から数年といった有期雇用契約が普通である。

筆者が採用説明会を見学した日、集まったのは圧倒的に女性が多く、日本語や日本の歴史を専攻している学生、ホテルビジネスを専攻している学生、日本語教師、日系企業で働いている人などがいた。また、日本に一度も行ったことはないが、日本語が堪能で日本が大好きだという人も数名いた。彼女らは「日本に旅行してみて、おもてなしが優れていると思った。日本人から接客を習って、自分の能力も上げていきたい」「日本人には、一つのことを目指して、皆で協力できる能力がある。自分もそういう輪に入りたい」「コミュニケーションが好きだから、接客の仕事に転職したい」「日本の歴史が好きなので海外からの旅行客に歴史を紹介したい」など、採用説明会に参加した動機を述べた。

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ともすれば「お客様至上主義」になりがちなサービス業界だが、大和リゾートの考え方はそうではない。大和リゾートは、会社がまず大事にしなければいけないのは従業員であるという理念を強く打ち出している。「まずはスタッフが幸せであること、そしてお取引先、お客様、地域社会を大事にすること。従業員が幸せであれば、その気持ちがお客様にも伝わる」という信念を持った会社なのだ。参加者からは「説明会に来るまで大和リゾートがどんな会社か知らなかったが、こんなに従業員を大事にしてくれる会社は少ないと思う。だから、ここで働きたい」という声も聞かれた。

大和リゾート株式会社の社長室長兼人事部長の大浜雄志(おおはま・かつし)氏は、「将来的には外国人スタッフを全体の50パーセントにしたいと思っています。数十名単位で採用しても、1ホテル2名程度にしかならず、外国人スタッフは少数派にとどまってしまいます。異文化を取り入れて世界基準で物事を考えるには、まずは今年、100名の外国人を採用することです。そして更には、世界中の全ての国の人が働いているホテルにすることが、私の夢です。と言っても、どの国から何名と決めているわけではありません。やる気と情熱のある、良い方がいれば採用します」と話している。

実際のところ応募者の日本語能力はまちまちで、敬語がきちんと使えない人もいる。しかし大浜氏は、日本語に不慣れな外国人をホテルの顔ともいうべきフロントに配置することについて、心配していないという。

大浜氏「リスクについては、恐れていません。これは柴山良成社長の考えですが、失敗や成功というのは、その場限りのものです。人間は失敗する生き物ですから、一生懸命に仕事をした上での失敗なら、してもかまわない。そしてその失敗を糧に今日より成長する、そんな成長体験をしてくれれば良いのです。」

面接を終えて、筆者の「良い方はいましたか?」という質問に、大浜氏は「はい、いました。皆さん、受け答えが堂々として素晴らしいです」、苅野氏は「モスクワへ来て良かった。参加者の方の目の輝きが違います」と答えてくれた。同社の採用説明会は11月9日から12日にかけて、ウラジオストクでも開催される。日本で、ロシア人が日本流のおもてなしをしてくれる日も、そう遠くなさそうだ。

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