共同通信は10月29日、消息筋の話として、日本に引き渡された後の南クリル諸島を日米安保条約の適用外にする保証を、日本がロシアに与えることができるかのような情報を報じた。すなわち米国は、特に南クリルに自国の軍事施設を配置できないということだ。しかし、ロシアとの政治対話の重要な問題に関する日本の主要メディアのセンセーショナルな報道が、公人によって必ず否定されるという、ここ数か月の状況が再び繰り返された。
10月末、ロシア国防省のアナトーリー・アントノフ次官は、日本の上月豊久駐露大使との会談で、米国のアジア太平洋地域でのMD展開への日本の参加に懸念を表した。ロシア国防省は、日本が米国と一緒に2000年代半ばから設計に日本の技術が用いられた迎撃ミサイルの実験や、米国のスタンダード・ミサイル3とイージス弾道ミサイル防衛システムの実験に取り組んだことを懸念している。この立場は新たなものではない。これについては、ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相や、ロシアの階級の高い軍人たちも一度ならず述べている。
ロシアは、米国のMDシステムは同等の安全保障の原則に反し、軍拡競争を引き起こすため、国際的な安定性を損なうとして、同システムの増強に原則的に反対している。
プーチン大統領は「ヴァルダイ会議」で演説し、米国が「自国のために戦略的バランスを変えることを目指して、新たなミサイル防衛システムの展開を禁止した国際的な法制度を壊した」と再び非難した。このようなアプローチは、同問題に関する中国の立場と完全に一致している。ロシアも中国も地域でのMD増強を、自国の核抑止ポテンシャルへの脅威と見なしている。
もちろんロシアは、北朝鮮のミサイル・核プログラムに関する日本の極めて大きな懸念に理解を持って接しており、北朝鮮の同プログラムの中止を求めている。一方でMD分野における日米協力は、北朝鮮だけでなく、ロシアに対して向けられたものでもある。日本は事実上、ロシアの核抑止ポテンシャルを直接脅かすことができる。これが2つ目の問題だ。
日本の軍事専門家らは現在、非公式レベルで、日本の海上自衛隊の対潜水艦活動は、中国に対してのみ向けられたものであり、ロシアに対するものではないと主張しているが、これはあまり信じられない。このような状況は、安全保障条約に基づく日本の義務に根本的に矛盾するはずだ。また日本によるMDの海洋要素の増強は、問題をさらに深刻なものにしている。
まさに、これらの安全上の現実的な2つの問題を、露日関係の現実的な信頼醸成に関連付けて議論する必要がある。なお、南クリルの米軍基地に関するテーマは、仮説の域の一つである。
なお記事の中で述べられている見解は、必ずしも編集部の立場とは一致していません。