日米 中国に貿易戦争宣戦布告、中国の出方はいかに?

© AFP 2023 / Greg Baker日米 中国に貿易戦争宣戦布告、中国の出方はいかに?
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5日付けの日本経済新聞は、政府筋の情報を引用し「日本政府は、中国を市場経済国家と認めるつもりはない」と報じた。この決定は、日中間の貿易戦争のプロローグになるかもしれない。

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2001年12月11日、中国は公式に、移行経済タイプの国として世界貿易機関(WTO)に加盟した。当時の合意によれば、2016年12月までの15年間に、中国のパートナー国は、この国が市場経済国家になったかどうかを決めることになっていた。このステータスは、WTO加盟国の間のダンピング問題において重要である。市場経済というステータスを持った国からの商品は、非常に多額の反ダンピング関税を課せられるチャンスが極めて低くなる。なぜなら、市場経済を持たない国々からの商品とは別のモデルが適応されるからである。

市場経済国と認められなければ、中国は、日本の反ダンピング関税に対し極めて脆弱なままとなるだろうが、同じ方向に米国やEUが傾いていることを考慮するならば、成長率のかなりの鈍化を経験している中国経済にとって、その影響は、極めて好ましくないものになる可能性がある。

現在日本では、中国の3つのカテゴリーの中国製品に対し、反ダンピング関税がかけられている。そして10月、三井化学、三菱化学、UNI PETは、経済産業省に対し、中国からのポリエチレンテレフタレート(冷凍タコやペットボトルの原料)輸入に関する反ダンピング(不当廉売)関税課税調査実施について請願書を提出した。

米国では、その輸出に対し追加的な関税がかけられる中国製品のリストに、20以上の品目が含まれているが、今年9月には、米国は、穀物に不正な補助金をばらまいているとして中国を非難し、WTOに対し新たな苦情を持ち込んだ。貿易交渉の際、米国のマイケル・フロマン通商代表は「こうしたプログラムは、中国国内における価格をゆがめ、米国の農場主の労働価値を下げている」と指摘した。

EU諸国において中国は、ここ最近開始された反ダンピング(不当廉売)関税の課税に関する調査34件のうち、22件の対象となっている。同時に経済成長のテンポがゼロに近い欧州では、中国の経済進出に対し警戒する雰囲気が強まっている。 欧州の産業連盟グループが実施した調査によれば、中国を市場経済国と認める事は、欧州の生産者にとって、安価な中国の輸入品との競争をより困難にするものであり、EUにおける350万人の雇用削減につながる可能性がある。

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とはいえEUでは、この問題をめぐって意見が分かれている。ベルギーのインターネット新聞EUobserverの報道では、EU加盟国においては、英国やオランダ、フィンランド、スウェーデン、デンマークが賛成し、ドイツも条件付きながら、原則的に中国を市場経済国として認める事に賛成しているが、イタリアは、断固それに反対の立場を取っている。

一方米国は、新聞Financial Timesによれば、2015年12月にすでに、EUに対し、中国への市場経済国のへのステータス付与に関し警告を与えた。次期大統領にトランプ氏が選出された今、そうした圧力は否応なく強まっている。

トランプ氏は、その加盟国にとって優先的は関税制度が適用されるはずだったTPPを葬ってしまった。しかし、それは、太平洋の自由貿易ゾーンから締め出された中国のためではない。

こうした条件の中で日本は、中国に市場経済国としての地位を付与することを拒否しつつ、自主的に自国経済を中国の輸出攻勢から守り、対中関係において新たな圧力となるてこを創り出しつつある。

驚くべきことに、この事は、トランプ氏の中国に関する雷のごとき次の発言と一致している。彼はツイッターの中に「中国は我々に、彼らの通貨の切り下げは我々にとって良いことか(切り下げは我々の会社にとって競争を困難にしたが)尋ねたろうか。彼らの国に輸出される我が国の製品にかけられる高い関税(米国は、彼らに税金を課していないのに)あるいは、南シナ海における大規模な軍事基地建設について、中国は我々に果たして尋ねたろうか? 私は。尋ねなかったと思う」と書き込んだ。

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米国の次期大統領が、選挙キャンペーン中に行った自らの強硬発言を後退させることなく、経済領域において中国に圧力を加える用意のあることは明らかだ。中国製品に45%の関税をかけるという彼の脅しは、もはや選挙前のパフォーマンスではないように見える。

日本は、この問題において、完全に次期大統領を支持しており、最近行われたニューヨークでの安倍・トランプ会談で、この事が話された公算は極めて高い。

中国が、自分にとって最大の貿易パートナー達が行っている経済政策に無関心でいるはずはない。 まず第一に中国は、WTOのメカニズムを使うこともできるし、西側の差別的措置に対抗して、輸入や投資の非関税制限を導入することも可能だ。実際上、もうそうした事は行われている。⒓月5日、中国駐在のドイツのマイケル・クラウス大使は「中国国内で活動するドイツ企業は、保護主義の拡大をかなり感じている。我々は、今年初めから、そうした苦情をますます多く受け取るようになっている」と伝えた。

米国に対するこうした政策は、一層重大な影響を及ぼす可能性がある。なぜなら中国は、米国にとって最大の輸入相手国であり、輸出相手国としては第三番目、2015年度の貿易総額は5584億ドルにも達しているからだ。

こうしたすべてのことは、世界最大の経済大国同士の貿易戦争によってその幕を閉じるかもしれない。しかし、そんなことになれば、それでなくても低迷している世界経済に計り知れない影響を与えるだろう。一方中国政府は、疑いなく、これまでよりも積極的にアジア太平洋地域における自由貿易圏作りに着手し、ロシアが主導的役割を果たすユーラシア経済同盟との統合を進めていくに違いない。

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