声明には、日本とロシアによる北方四島の振興計画策定や、4島での人的交流拡大も明記される見通し。焦点である領土の帰属問題を含む平和条約締結交渉については、首脳会談を受け内容を最終決定する。複数の日本政府関係者が7日、明らかにした。
帰属問題を巡る日露の立場の隔たりは依然として埋まっていない。安倍政権は北方領土の振興に共同で取り組むことで領土問題を進展させる環境整備としたい意向だ。「北方四島でのロシア主権は認められない」とする日本の立場を維持した形での法的枠組みがつくれるかが課題となる。
ただ日本国内には「経済先行では、ただ食いされる」(与党幹部)との懸念が根強い。プーチン大統領来日時には、両政府間で経済協力に関する10本程度の合意文書が交わされる見込みで、合わせて領土交渉の打開にどうつなげるか、政権の力量が問われそうだ。
政府関係者によると、安倍晋三首相とプーチン氏は15日に山口県長門市で、16日に東京で首脳会談を開催。共同声明は終了後の発表を想定している。両首脳による記者会見で明らかにする形式も検討している。
共同経済活動は、領土の帰属を明確にせずに日ロが合弁事業を行う構想で、漁業や水産加工、観光などを想定。ロシア側の積極姿勢を踏まえ、首相が5月の首脳会談で検討開始を提案した。ただ現地で活動する日本国民の法的立場や適用法令をどうするかなど課題は多い。ロシアの実効支配強化につながる恐れもあり、4島全てを対象にするのかも論点となる。両政府間では作業部会を置き、こうした課題を詰める案が浮上している。
共同声明には、日本国民が旅券やビザなしで北方四島に渡航できる「ビザなし交流」の枠組み拡大や緩和も盛り込む方向。対象者に経済関係者を加える方針だ。