この新たな制裁が、昨今、大きな批判を呼ぶようになった。ロシアでは、特に3月の制裁決議以降、制裁の実効性に懐疑的な見解が幾度となく聞かれてきたが、今度は韓国の専門家も慎重な発言をするようになった。
私は、北朝鮮に対する制裁は効果的でないどころか、むしろ逆効果であり、朝鮮半島情勢を総じて悪化させる主要因であると考えている。
北朝鮮では機械製造業が大きく発展しており、故金正日の決定により、最新の自動化加工設備が広く導入されている。これにより、あらゆる種類の工業設備(ウラン濃縮用の遠心分離機を含む)、あらゆる種類の兵器や軍装備品を製造することができる。「指導者の現地訪問」の写真を見る限り、機械製造工場の一部は地下トンネル内に移設されているようだ。
また、北朝鮮は米韓の大規模軍事演習によるものを含め、常に戦争の脅威を感じているため、経済政策では外国との関係(戦争が始まれば切れてしまうことが確実)に依存しない製造業の発展と技術開発を重要視している。外国へ輸出されなかった資源は軍需に転用されるため、制裁は北朝鮮のこうした経済・軍事面での備えを後押しするだけである。
次に、制裁が逆効果であることについて。制裁はすでに、封鎖と紙一重のところにまで近づいている。国連安保理決議に従って北朝鮮の港を封鎖しようとするあらゆる試みは、北朝鮮から攻撃的行動と見なされることは間違いない。
最後に、制裁という言語のみを使って北朝鮮と話をすることは、北朝鮮指導部があらゆる交渉や外交の意義を見失うことへとつながる。主要な政治手段がミサイル・核兵器と威嚇だけになってしまう。制裁で北朝鮮を追い詰めることは可能だが、その状態こそが軍事衝突の発生という観点からは最も危険な状態なのである。他に外交問題の解決手段を失った北朝鮮指導部が、最後の手段として戦争に走ることは十分にあり得る。そうなると軍事・経済的な備えが問題となり、戦争に必要な資源の貯蓄が問題となるが、それらの大部分は北朝鮮が自力で、対外貿易がなくとも製造することができるものである。
言い換えれば、兵器や威嚇を用いることができなくなるような様々な論拠を北朝鮮に与えることが必要なのである。これによって北朝鮮に核兵器を諦めさせることはできないが、その代わり、核兵器使用の脅威は消滅する。
なお記事の中で述べられている見解は、必ずしも編集部の立場とは一致していません。