エロパックはグローバルなメーカーとして、様々な種類の充填機を扱っている。数ある競合の中で、日本メーカーはどのように健闘しているのか。日本メーカーの改善点をエロパック・ロシアのアンジェリカ・フェドセーエワ販売部長に聞いてみたが、答えは明解だった。
フェドセーエワさん「四国化工機の製品は車で言えばメルセデス・ベンツのようなものです。つまりこれより良い製品というのは世界中に存在しないし、不満な点は一切ありません。しかしロシアの飲料メーカー全てがベンツを必要としているわけではありません。小さい会社もたくさんありますので、色々なラインナップを揃えていないといけないのです。」
四国化工機の充填機は競合社に比べると値が張るため、ロシアの飲料工場は検討に時間を要するが、稼動している様子を実際に目にしてみると、大きく心が揺るがされるという。また、日本のスーパーマーケットで商品を見るのも楽しく、ロシア人にとっては色々な発見がある。ヨーグルトひとつをとってみても包装形態のバリエーションがとても多いのだ。エロパック・ロシアの社員らは、「もっと視察に行きたいが、日本への出張は非常にお金がかかるため、なかなか許可が出ない」と口を揃える。日本への視察に同行したアレクセイ・ソロヴィヨフ部長代理は、経済協力のあり方について次のように話している。
日本企業が注目しているのは、ファイナンスシステムにおける日露間の協力だ。四国化工機株式会社・国際部の秦義典(はた・よしのり)部長は、「融資決裁の迅速化や融資枠の拡大など、ロシア企業にとって使い易いファイナンスが確立されれば、設備投資が増えて、日本製品導入の後押しになると思います」と話している。
日本の視察では、困ったこともあった。フェドセーエワさんもソロヴィヨフさんも日本はものすごく先進的な国だというイメージを持っていたので、どこでもカードが使えると思い、あえて現金を持っていかなかったのだ。いくつかの店ではカードが使えず、仕方なく現金を引き出そうとすると、今度はATMが英語に対応していなかった。言葉の壁は非常に高く、英語を話せる人が街中にほとんどいなかったため、意思疎通は大変だった。しかし、日本人の「助けよう」という気持ちのおかげで、何とかなったという。
フェドセーエワさん「日本人はいつも、何かしていますね。自分の周りを飾る、というほどではないのですが、例えば自分の店があるとすると、その前の道路も一緒に掃除したり、草木の手入れをしたりしています。日本人とは、自分の仕事の意味を理解し、常に何かを改善しようとしている人たちだと思います。日本の国土は狭く、都会だと群衆の中に巻き込まれるのかと思っていました。しかし東京でも京都でも、人は確かに多いのですが、人の動線も交通の流れもきちんとしていて、快適さを感じました。モスクワの渋滞に慣れている身としては、日本にはなぜ渋滞がないのか不思議です。職業柄、いつも包装に目がいきます。日本では何かを買うととても綺麗に包んでくれるので、気に入りました。」