その際、地域においても世界においても、ロシアの主要なパートナーとして残るのは中国だ。⒓月24日に行われた記者会見で、プーチン大統領は「露中には、国際問題の多くの問題に関し共通した立場がある」と強調し、次のように続けた-「この事は言うまでもなく、あらゆる国際問題において、大変安定的で重大な要素になるだろう。我々は、中国との関係を大切にし、その更なる発展を期待している」。
当選後すぐにトランプ氏は、中国の経済政策に対する彼の批判や海軍の艦船数を350にまで増やすプログラムが、選挙中の単なるパフォーマンスではないことを示した。すでに現在、中国政府は、トランプ氏の親台湾的行動に神経質に反応しており、南シナ海での水中無人機拿捕という形での脅しを匂わすシグナルを彼に送っている。あるいは、南シナ海に中国最初の空母「遼寧」を派遣し示威行為に出たりして、米国の主要なライバル、または敵とも言ってよい自分達の役割を確認している。著名な米国の政治学者サミュエル・ハンティントン氏は、すでに20年前に、文明の衝突という自分の概念を根拠づけるため、少なからぬ労力を費やしたが、彼が言わんとしたのはイスラム世界との衝突ではなく、まさに極東での衝突だった。
なお12月18日、自民党の山本一太・元内閣府特命担当相は、フジテレビに出演した中で、次のように発言した-「ティラーソン氏を国務長官に任命したことでトランプ氏が本気で米ロ関係を動かそうとしていることは分かった。ただ、ティラーソン氏が国務長官になったからといって、米ロ関係が急激に変わるとは思っていない。」
とはいえ恐らく、二人のカリスマ的指導者が起こす「化学反応」が、露米関係復活において、小さくない役割を果たすだろう。露米対話の主要なテーマの一つは、「ダーイシュ(イスラム国)」との戦いであり、シリアにおける平和調整問題である。しかし露米関係正常化の代償は、ロシア政府にとってどのようなものになるだろうか? ロシア対外・国防政策評議会幹部会で名誉議長を務めるセルゲイ・カラガノフ氏は、次のように見ている-「米国側は、ロシアを中国から引き離そうと試みるだろう。この事は、ここ⒛年間、西側の対ロシア関係において、実際まさに主要なモチーフの一つだった。日本も、ウィキリークスが公開した情報から判断すれば、厳格にこの路線を支持してきた」。
こうした条件の中、ロシア指導部にとって、最もふさわしいのは、アジア太平洋地域の安全保障問題に関する多面的対話のイニシアチブをとることだ。ここでの主なプレーヤーは、米国、中国、日本そしてロシアである。今年2017年中、このテーマは、ますます重要なものとなるだろう。4大国の枠内でのみ、安全保障問題の解決は可能だ。そしてロシア政府には、そのための良い条件がある。中国とは、特別な良い関係にあるし、米国とは関係正常化に向けた展望が開かれようとしている。そして12月半ばの、プーチン訪日後、日本とも質的に新しい関係が築かれようとしているからだ。