2014年春、ドージンのこの演劇はロシア国内最高峰の舞台芸術賞である「黄金のマスク」賞を受賞した。18世紀の町人のドラマを描いたドイツ演劇のクラシック作品を、ドージンは政治的合理性と素直な人間感情の対比として表現している。「あなたが政治に関わらなくとも、それは政治があなたに関わらないということではない」という初代ドイツ帝国宰相ビスマルクの100年以上前のことばは、今日でも十分に通用する。
メインの役どころを演じるのはレフ・ドージンの教え子であるエリザヴェータ・ボヤルスカヤ、クセーニヤ・ラッポポルト、ダニーラ・コズロフスキーだ。彼らは映画にも数多く出演し、その美貌と輝く才能とカリスマ性で、ロシア国内外でとてつもない人気を博している。2014年10月のミラノ公演後には、『ラ・レプッブリカ』紙が彼らについて「めちゃくちゃ才能に溢れた俳優団」と書いている。
どんな気持ちで劇団が日本公演の準備を進めているのか、海外関係を担当する副劇場長のディーナ・ドージナ氏がスプートニクのインタビューで語ってくれた:
「私たちの劇団が前回、日本で公演したのは27年以上も前です。それ以降、私たちは何度も招聘を受けていたのですが、主催者の予算が足りなかったり、私たちが別の興行に出ていたりと、なかなか都合が合いませんでした。けれど、私たちは日本のことを忘れてはいませんでしたし、日本でも私たちのことを覚えていてくれていました。長年にわたって遠距離恋愛のような状態だったのです。私たちの劇場のレパートリーには、15年も前から三島由紀夫の戯曲による演劇『綾の鼓』が入っており、この作品に対する関心は衰えることがありません。また現在は、日系カナダ人の劇作家Ouchi Mieko氏の戯曲による新しい舞台『The Blue Light』も加わっています。」
スプートニク:どうして『たくらみと恋』が選ばれたのですか?
スプートニク:ロシアの俳優が演じるシラーのクラシック作品が日本の観客にうけるのでしょうか?
ディーナ・ドージナ氏:『たくらみと恋』はクラシックな舞台装飾を用いており、俳優も歴史的な衣装で演じていますが、メッセージは現代の観客に向けられています。ドージン氏は、このストーリーがかつてどこかで起こった話ではなく、いつでもどこでも起こり得る話となるように演出しています。
『たくらみと恋』は世田谷パブリックシアターで2月18日と19日、日本語字幕付きで上演されます。