経済問題は、トランプ大統領の就任に伴って、日本の最大の懸念事項のひとつとなった。トランプ大統領は既に環太平洋経済連携協定からの離脱に関する大統領令に署名した。それに代わるものとして、新米政権は二国間経済協定に関する交渉を提案しており、TPPの行方には疑問符が付いたままだ。安倍首相は2月1日の政府の会合の中で、トランプ大統領と一連の経済問題を話し合うつもりだとして、次のように述べた:「いかに日本が米国の雇用創出を手助けできるか、米国産業界全体の生産性向上、競争力の強化に貢献できるかがテーマのひとつとなる。」
このテーマについて、極東研究所・日本研究センター長のワレーリー・キスタノフ氏が語ってくれた:「対米関係における日本の懸念事項のひとつは、先日のマティス国防長官の訪日で払拭された。マティス国防長官が、同盟関係は揺るぎないと確認したからだ。ここには、日本が第三国から攻撃を受けた場合、米国が日本を守ることを規定した安全保障条約第5条も含まれる。また、中国が領有権を主張する尖閣諸島にも、安全保障条約が適用されることが確認された。マティス国防長官は米軍基地の維持費の財政分担についても、日本は財政規律の「手本」だと言い、日本人を安心させた。日本はすでに費用の80%を負担しているため、この問題は日本にとって極めて頭の痛い問題だった。マティス国防長官は「日本がもっと負担すべきだ」とは言わなかったが、「我々は提示された金額に満足している」とも言わなかった。そのため、理論上は、トランプ大統領との会話の中でこの問題が浮上する可能性も排除できない。
経済関係では、米国のTPP離脱が安倍首相の計画にとって大打撃となったのは間違いない。なぜなら、安倍首相は日本の産業振興と経済活性化の手段のひとつとしてTPPをあてにしていたからだ。その希望が失われた今、米国抜きのTPPに命を吹き込むことができるのかどうか、極めて困難だ。おそらく、トランプ大統領との会談が二国間貿易経済関係に関する協議の端緒となるだろう。日本も大いに恩恵にあずかっている北米自由貿易協定(NAFTA)の条件見直しに関するトランプ大統領の意向も話題になると思われる。独自の視点で二国間経済関係により公平な秩序を求めるトランプ大統領側からの圧力を緩和するため、安倍首相は米国のインフラ整備に対する大規模な協力計画を準備した。輸送、エネルギー、製造業などに多額の投資をすることで、日本は自らのかけがえのない有益さを証明しようとしている・・・」
安倍首相が、平和条約締結に向けた日ロ経済協力の発展や、南クリルでのロシアとの共同経済活動の計画について、トランプ大統領に自らの姿勢を伝えるかどうかは不明だが、会談まで残された時間はあとわずかだ・・・