スプートニク:2016年12月の露日首脳会談をどのように評価されていますか?なぜ首脳会談は成果がなかったと広く捉えられたのでしょうか?
スプートニク:安倍首相が4月にロシアを訪問する予定です。この新たな日露首脳会談には何を期待することができますか?
鈴木氏:昨年5月6日にソチで安倍総理が8つのアプローチを提案しました。所謂、極東、アジア、サハリン州を含めてのですね。昨年9月2、3日のウラジオストクでの東方経済フォーラムでその具体的なアクションプログラムの説明をされました。それを踏まえてですね、今年は具体的に実行しなけくてはいけません。 そして新しく提案した北方四島における共同経済活動で『これをいたします』(という)、 例えば元島民が自由に行けるようになったというプーチン大統領の善意に対して、日本側は、島に住んでるロシア人がいるので、その人たちの雇用だとか医療、環境、自然保護、インフラ整備、これを具体的に実行しますよというプログラムを、私は今度の首脳会談では示すべきだと、こう思ってます。あと 国際的にはトランプ大統領の登場もありますから、 私は米露関係が良くなることは日露関係も良くなることだという意味で、今度のサミットでは、そういったまさに世界地図を見ての首脳会談になると思います。
スプートニク:南クリルでの露日経済協力は具体的にはどのようなものになる可能性があるのでしょうか?日本はどのような提案をする用意がありますか?
スプートニク:現在、島での経済協力に関するテーマの主要な問題やその解決策はどのようなものがありますか?
鈴木氏:1998年に小渕総理が訪露した際、エリツィン大統領との間でも所謂この共同経済活動の話が出て、委員会までつくりました。 主権の問題で話は進みませんでした。今回プーチン大統領と安倍総理の間では特別な枠組みをつくって主権の問題は横に置いて、日露で協力して何ができるか、新しい枠組みをつくりましょう、と言いました。私は法律論はすべきではないと思っております。それは横に置いといてですね、日本は北方四島に仕事に出てった場合ルールは破りません。あるいは事故だとか、所謂トラブル、そういうものを起こしません。ですから私は法律を横に置いてですね、ここは性善説で、お互い両国が理解すべきだと思ってます。私がなぜそう言うかというと、人道支援を20年前、25年前に日本は北方四島にしました。例えば国後島に友好の家という宿泊施設があります。ここに2ヶ月、3ヶ月日本の人が行って建築に従事しましたけれども、トラブルは一切ありません。あるいはお酒を飲んでのトラブルもありません。ですから私は、ここはお互い信用し合ってやっていけば前に進むと。法律論が出てくると止まってしまう。法律論を抜きにして、私はここは進めるべきだと思ってます。
スプートニク:日本では、領土問題を解決するための柔軟なアプローチという安倍首相の方針への反対は、どのくらい強いのでしょうか?
鈴木氏:安倍総理は決意と覚悟を持って日露関係に取り込んでおります。私も月に一度、安倍総理とお会いして日露の話をしておりますが、いつも感じることは日露関係を良くすることが、 平和条約を締結することが、 極東の安定はもちろん世界の安心、安全に寄与できるという大きな気持ちを持って取り組んでおられるということです。それはとりもなおさず安倍安晋三総理のお父様の思いを受けてると思っています。安倍総理のお父さんは1991年、平成3年の4月にゴルバチョフ大統領が来られた歓迎式典で表舞台に出たのが最後だったんです。その1ヵ月後に亡くなりました。 病を押して病院に入院中でも安倍晋太郎先生は当時の日ソ関係を良くしたいという思いで頑張られた。その後ろ姿を見てる総理は、ソ連からロシアに変わっても、あのイルクーツク声明の森喜朗・プーチン会談でもですね、官房副長官として森先生について行ってるんですね。 ですからソ連の歴史、あるいはロシアとの新しい歴史をよく知っておられる。私は安倍総理がやっぱり父上が日ソ関係を良くしたいと思っても果たせなかった、その大きな夢、志をしっかり引き継いで歴史をつくろうと、それをプーチン大統領との間でやるんだという 強い意志を持っておられる。 ここが私は非常に期待できると思ってます。
スプートニク: 露日対話への米国の影響度 どう図れるか?
スプートニク:今年の露日対話の結果はどのようなものになるとお考えですか?
鈴木氏:4月末に安倍総理がロシアを訪問される予定でおります。 5月にはG 7サミットがありますが、私は安倍総理はウクライナの制裁解除等に向けてイニシアチブを発揮できると思っております。7月にはG20が行われます。 ここで首脳会談がありますね。ですから4月末の首脳会談、7月の首脳会談、私はその流れの中で大事なのは9月6、7日のウラジオストクでの東方経済フォーラム、これに安倍総理は行く約束をしております。ここでまたプーチンさんと会談がある。ここでまた新たな、次に向けた安倍総理の考え、またはプーチン大統領の考えが披瀝されると思います。11月にはAPECがありますから、APECでも首脳会談ができます。これらを考えると、 去年は4回首脳会談をやりましたけれども、今年も4回の首脳会談は行われると思います。ますます日露関係は良い方向に向かって進んで行くと、こう考えております。そして何よりも来年3月(ロシアの)大統領選挙で間違いなくプーチンさんは圧勝するでしょう。日本も来年9月に安倍総理の任期がきます。そしてもう1期、3年伸びます。ですから今年から来年にかけてまた大きな山場が巡ってくる。同時に平和条約の締結はトップリーダーの判断しかないんです。 それはプーチン大統領と安倍総理の決断しかないんですね。そういった意味では2人とも強いリーダーです。プーチン大統領は80%以上の支持があります。お陰さまで安倍総理も60%以上の支持がありますから、この2人で私はこの2年以内に道筋をつけていただけると、こう思っております。
世界の政治で不安定さが増している今の現状の中で、露日関係の正常化は平和条約締結交渉の枠を超えた特に重要な意味を持っている。プーチン大統領と安倍首相がこのような二国間関係の理解に向けてどれほど準備が整っているかは、予定されている日露首脳会談が示してくれるだろう。世界的な議題は、「プラス」の兆候を持つ出来事を必要としている。