世界的に見れば、これは十分に良い結果ではある。(ちなみにロシアは、悲しくも29ポイントでクリーン度131位だった)しかし汚職・収賄・利益供与のスキャンダルは、定期的に日本社会にショックを与えてきた。その主役となったのは国家機関の上層部の人々である。2014年、安倍第二次改造内閣にとって大きな打撃となったのは、同年10月に就任間もない二人の女性大臣が辞職に追い込まれたことだった。経済産業大臣だった小渕優子氏は身内のための不透明な支出を政治資金として計上しており、法務大臣だった松島みどり氏は自身の選挙区でうちわやカレンダーを配布していた。
そして政治家の利益供与に対する憤慨の波は、現役の内閣総理大臣をも巻きこんだ。ここ最近、日本のあらゆるメディアが取り上げているのが学校法人「森友学園」への国有地払い下げ問題である。同学園理事長である籠池泰典氏は、安倍首相の応援団とも言うべき民間団体「日本会議」の大阪支部役員であるという話もある。まだ不可解な点が多いこの一件だが、全てが明るみになるのは時間の問題だろう。日本の汚職問題について、元駐日大使で、現在はモスクワ国際関係大学の教授であるアレクサンドル・パノフ氏は次のように話している。
パノフ氏「もし『日常レベル』に話を絞るなら、普段の賄賂のやり取りは、日本では見られない現象です。もし何か問題があれば、地域の当該の役所と解決すれば良いのであって、それに対する追加の対価は要りません。このメカニズムはきっちりと機能しており、賄賂を渡そうなどという発想がわいてくること自体、あり得ないのです。それに渡そうとしたところで誰も受け取りはしません。しかしながら、権力者と大金の世界になると話が違ってきます。自身の地位を利用するという誘惑に打ち勝つことは難しいものです。誰かの利益を守るために、政治家が買収されることはよくありますし、官僚たちは、自分たちを『食べさせてくれる』特定企業とつながりがあります。企業は見返りに、情報などを受け取るというわけです。それが明るみに出て裁判になり、有罪になることもままあります。しかしそういったことは、大規模に行われているわけではない、と付け加えておきましょう。私の記憶では最も大きいスキャンダルは、故田中角栄氏のロッキード事件でした。この裁判は約20年にも及びましたが、田中氏はその途中で亡くなりました。」
神野氏「目の前で汚職が行われていれば、感情的にその者に対する憎悪ばかりが膨らみ、これを非難する対立候補を支援したくなります。しかし、それによってよしんば汚職政治家を追い落としたところで、実のところ何の解決にもならないことを歴史が教えてくれています。一緒になって汚職議員を追い落とし、新たに政権の座に就いた対立候補自身が同じ(あるいはそれ以上の)汚職を繰り返すだけだからです。」