スターリンは強制をあてにしプーチンはプラグマチズムに期待する

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このところロシア人の間で益々、1920年代末から1953年3月3日に亡くなるまで当時のソ連邦を統治したスターリンに対する肯定的評価が高まっている。アンケートに答えた人のうち46%が、スターリンに対し「感嘆」「尊敬」「共感」といった感情を持っている。これは、ロシアを代表する世論調査機関の一つ「レヴァダ-ツェントル(センター)」が実施した調査によるものだ。

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そして大体同じくらいの人達が、スターリンはロシアの歴史において肯定的役割を果たしたとみなしている。しかし以前の年次調査では、三分の二もの人達が、罪もない何百万もの人々の殺害に責任がある独裁者とスターリンを捉えていた。今年の調査でも、アンケートに答えた人のうち約半数は、スターリン弾圧を犯罪であるとしているが、そうした中には政治的に必要不可欠なものがあったと考える人の割合がますます増えている。このように、スターリンに対する評価は一様ではなく、しばしば正反対であるにもかかわらず、ロシア社会における彼の人気は、ここ16年間で今ピークに達している。これは一体なぜであろうか?

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スターリンという人物の複雑さは、公式的見解の中にも反映されている。かつてプーチン大統領は、次のように述べた-「スターリンの指導のもとで国は農業国から工業国になった。確かに農民階級は残らなかったが、実際のところ工業化が行われた。我々は、大祖国戦争に勝利した。誰が何と言おうと、勝利は達成された。」

またプーチン大統領は、スターリンが行った迫害について「国家統治の容認できない手段」と呼んでいる。

「レヴァダ-センター」のアレクセイ・グラジダンスキイ副所長は、ロシア人の間でスターリン人気が高まっている理由について、次のように説明した-「スターリンは、ロシア人の意見では、戦争の時代、強く厳しい手が求められていた危機的時代に国を導くには相応しい人物だった。その意味で今も彼は、指導者としてより相応しい人物だ。ただロシアの人々は、そうした時代に生きたくはないと思っている。」

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こうしたロジックは、ロシアにおけるソ連の他の指導者達に対する評価でも確認する事ができる。今のロシア人にとって、最も不人気な政治家は、フルシチョフ、ゴルバチョフそしてエリツィンといった人達だ。その原因は、3人の指導者が失敗した改革や冒険主義的対外政策を人々に連想させるからである。その結果、ロシアの国際的地位は悪くなった。フルシチョフについて言えば、人々はまず、食糧不足を呼び起こした疑わしい革新的農業政策、そして外交ではあの「カリブ危機」の挑発を思い出す。ゴルバチョフの場合は「ペレストロイカ」の挫折と冷戦の敗戦、エリツィンについては、ソ連崩壊と10年に及んだ経済危機が思い起こされる。フルシチョフは、1980年までに共産主義社会が実現されると約束し、ゴルバチョフは民主主義が勝利すると請け合い、エリツィンは市場経済化での繁栄をぶち上げた。一方スターリンは、社会主義による世界革命という神話を捨て去り、国の工業化に取り組んだ。それは多くの点で、第二次世界大戦におけるソ連の勝利を保証するものとなった。

さてプーチンだが、彼はエリツィン時代の無秩序を克服し、基本的な国家機構の活動を回復させた。その統治下、国民の生活レベルは著しく向上し、人口動態学上の危機克服においても前進が見られた。プーチン時代は今も続いている。その評価を下すのは、次の世代であり、まだ先のことになるだろう。

しかし3年前、AP通信とロシアのテレビ第一チャンネルのインタビューの中で。プーチン大統領は、 自分自身を「保守的傾向を持ったプラグマチスト」と呼んだことは特筆に値する。

彼はまた、政治的保守主義の、彼の眼から見た2つの特質について指摘した。それは、伝統的価値観を支えとしながら、発展に力点を置くことである。現在、ロシア国民の間で彼の支持率は高く、83%に達している。この事は、彼の政治的信念が、まさにロシアで求められているものである事を証拠立てている。

プラグマチズムは、ロシアの対外政策でもはっきり示されており、大統領令により、その主な原則として承認されている。恐らく、プラグマチズムこそが、その助けを借りて対日関係を含め、ロシアの抱える多くの対外諸問題を調整できる,まさに道具と言えるだろう。何はともあれ、対外政策の具体的成果を求めるロシアの姿勢は、明白である。

 

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