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同様の発言は、選挙キャンペーン中のドナルド・トランプ氏からも聞かれた。トランプ氏は1年前の『ニューヨークタイムズ』のインタビューで、北朝鮮と中国の核の潜在的脅威から身を守るため、日本と韓国が自力で核兵器を開発してもいいのではないかと論じている。彼はまた「もし米国が今後も弱腰路線を続ければ、彼ら(日本と韓国)はいずれにせよ、それを望むだろう」と付け加えた。選挙後、トランプ氏はこの発言から距離を置こうとしていたが、国務長官のインタビューは、極東の同盟国の核ステータスに関する話題がまだ終息していないことを示している。
どうやら、北朝鮮の核問題解決でも同様のアプローチが見られるようだ。北朝鮮のミサイル核計画がまず米国抑止を目的としていることは明白だ。北朝鮮による3月18日のミサイルエンジン実験や潜水艦発射ミサイル製造の試みは、平壌の主要な目標が韓国や日本列島ではなく、太平洋の向こう側にあることを物語っている。また、米国がこの状況を十分に理解していることは、ソウルや韓国領内の主要目標の大部分の防御にとっては無意味でありながら、米国内の目標や太平洋上の基地に向けた大陸間弾道ミサイルの発射の際には有効な、米ミサイル防衛システムTHAADが韓国に配備されていることからも分かる。
誰が何と言おうとも、日本と韓国が核兵器を保有するようになった場合、核不拡散条約の陳腐化は不可逆的なものとならざるを得ない。イスラエル、インドなどの非承認核保有国の誕生は、まだ「冷戦」の遺産と考えられるとしても、21世紀における非承認核保有国の拡大は、核不拡散体制そのものの崩壊に終わるだろう。
核ステータスをまず最初に主張するのがイラン、ペルシャ湾の君主国であることは間違いない。また、1990年代初頭にソ連の核兵器庫であることを止めたことに深い後悔の念を抱いているウクライナなどの国があることも忘れてはならない。ティラーソン氏が本質的に指し示している核不拡散条約の違反がどのような結果をもたらすのか、ワシントンはすべて考慮できているのだろうか。今のところまだ分からない。