米国が核不拡散条約を危機にさらす?

© AFP 2023 / Lee Jin-man米国が核不拡散条約を危機にさらす?
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極東諸国を歴訪中のレックス・ティラーソン米国務長官が、日本と韓国が核保有国になる状態が起こり得ることをほのめかした。ティラーソン氏は米メディアIndependent Journal Review (IJR)のインタビューで、北朝鮮の核計画に関する政策議論について語り、「相互抑止の観点から、私たちがこれを検討しなくてはならなくなるところまで状況が悪化する可能性がある」と述べた。

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同様の発言は、選挙キャンペーン中のドナルド・トランプ氏からも聞かれた。トランプ氏は1年前の『ニューヨークタイムズ』のインタビューで、北朝鮮と中国の核の潜在的脅威から身を守るため、日本と韓国が自力で核兵器を開発してもいいのではないかと論じている。彼はまた「もし米国が今後も弱腰路線を続ければ、彼ら(日本と韓国)はいずれにせよ、それを望むだろう」と付け加えた。選挙後、トランプ氏はこの発言から距離を置こうとしていたが、国務長官のインタビューは、極東の同盟国の核ステータスに関する話題がまだ終息していないことを示している。

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核不拡散体制は米外交政策の要である。核兵器を持つことで、より弱い国の能力が米国と肩を並べるものになってしまう。まさにそのために、米国はアルゼンチンや南アフリカ共和国のほか、スウェーデンのような穏健国にも、核計画を中止させたのである。一方で、強情な国は、例えばイランやリビアのように極めて厳しい政治的・経済的圧力を受けるか、イラクのように軍事攻撃を受けることとなった。ところが、ワシントンはパキスタン、インド、イスラエルのような重要な同盟国に対しては例外を設け、同国の核ステータスを地域・グローバルレベルの米国の主要敵国であるソ連、中国、イランの抑止政策の一環として組み込んだ。

どうやら、北朝鮮の核問題解決でも同様のアプローチが見られるようだ。北朝鮮のミサイル核計画がまず米国抑止を目的としていることは明白だ。北朝鮮による3月18日のミサイルエンジン実験や潜水艦発射ミサイル製造の試みは、平壌の主要な目標が韓国や日本列島ではなく、太平洋の向こう側にあることを物語っている。また、米国がこの状況を十分に理解していることは、ソウルや韓国領内の主要目標の大部分の防御にとっては無意味でありながら、米国内の目標や太平洋上の基地に向けた大陸間弾道ミサイルの発射の際には有効な、米ミサイル防衛システムTHAADが韓国に配備されていることからも分かる。

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そのほか、日本と韓国に核ステータスを持たせるという考え方は、米国の同国に対する安全の保証とはあまり相容れないものである。この場合、極東の同盟国に対する米国の核の傘は、無用な贅沢品となってしまう。極東情勢が複雑化しているのは、例えばイランなどとは違い、北朝鮮にはすでに完成された核兵器と運搬手段があるからだ。核保有国となった地域大国の間で衝突が激化した場合、安全保障条約第5条がどのようにして米議会を通過するのかは、誰にも分からない。

誰が何と言おうとも、日本と韓国が核兵器を保有するようになった場合、核不拡散条約の陳腐化は不可逆的なものとならざるを得ない。イスラエル、インドなどの非承認核保有国の誕生は、まだ「冷戦」の遺産と考えられるとしても、21世紀における非承認核保有国の拡大は、核不拡散体制そのものの崩壊に終わるだろう。

核ステータスをまず最初に主張するのがイラン、ペルシャ湾の君主国であることは間違いない。また、1990年代初頭にソ連の核兵器庫であることを止めたことに深い後悔の念を抱いているウクライナなどの国があることも忘れてはならない。ティラーソン氏が本質的に指し示している核不拡散条約の違反がどのような結果をもたらすのか、ワシントンはすべて考慮できているのだろうか。今のところまだ分からない。

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