文部科学省の情報によると、避難した子供たちは「福島に帰れ」、「放射能がうつるから近づくな」などと言われたという。松野博一文部科学相は、このような行為はあってはならないとし、いじめを防止するために教員、保護者、社会全体が力を合わせるよう呼びかけた。
調査の結果、いじめの件数は200件以上に上ることが明らかとなった。松野文部科学相は、多くの子供たちは自分の問題を隠してしまうため、いじめが表面化していない可能性もあると述べた。
同じような状況が、チェルノブイリ原子力発電所事故後にも発生した。汚染地域からの避難を余儀なくされた子供たちは、触ったら危険という意味で「チェルノブイリのハリネズミ」とからかわれた。ベラルーシ出身のポータル「インフォクリエール」の編集者アレーシ・ドスタンコさんは、「スプートニク」に当時の思い出を語った-
「当時私は12歳で、私たちの夏のキャンプに汚染地域を意味する『あっちから』の移住者たちがやってきました。幼かった私たちは『あっちから』の意味がわかりませんでした。でもすでに当時、放射能は怖いという認識はありました。はじめ私たちは彼らを敬遠し、彼らとの交流を避けました。彼らがどうして『チェルノブイリのハリネズミ』と呼ばれるようになったのかはわかりません。もしかしたら、そこには同情と放射能が文字通り何かのウイルスのように『うつる』のが怖いという2つの感情が含まれていたのかもしれません。私の記憶に刻まれているのは、彼らは気を悪くせず、自分たちを守ろうとはしなかったけれど、感情を顔に出さず、孤立して耐えていたということです。私は大きくなってからやっと、彼らが実は知っていたこと、彼らが私たちがしたことからどんなことを経験したのかを理解しました」。
「子供の攻撃は、よく知られた現象です。一般的に、大多数の子供とは異なる外見、または異なる行動をとることもたちが被害に遭います。まず障害を抱える子供、養子の子供、引っ越しで転校した子供たちなどです。良い場合で、彼らとは仲良くしない、悪い場合は、笑いものにしたり、いじめたりします。これにどう対処したらいいのか、その万能なアドバイスはありません。すべてはその子供の性格と具体的な状況に関係します。ですが、心理学者や教師たちは、生徒がそのクラスの『一員』として認めてもらうためには、教師たちが、その生徒は他の生徒たちと同じであることを示す努力をする必要があると確信しています。何があってもその生徒に対して『欠陥がある生徒』を扱うような寛容な態度をとったり、気の毒がったり、他の生徒たちの同情を求めたりしてはなりません。このような生徒を特別扱いして集団から切り離すのではなく、その反対に皆と同じレベルにおかなくてはなりません」。
「ヨーロッパ・レジスタ」の心理学者ニコライ・ルィチコフ氏は、子供の基本的な価値観を決めるのは学校ではないとの考えを示し、次のように語っている-
「もちろん、このような行動をなおすことができるのは家庭、学校、社会であり、そうでなければなりません。しかし学校の主な任務は教育であり、しつけではありません。とはいえもちろん学校はあるタイプの行動を形作っています。しかし、子供の基本的な価値観を決定しているのは学校ではありません。すべてのケースにとって万能なレシピはありません。ですが、子供の行動に対する親の態度が、決定要因であるはずです。親たちは同級生との交流などについて子供たちと明確に、わかり易く話をし、何が良くて何が悪いのかをはっきり区別する必要があります」。
心理学者たちは子供の攻撃について、子供たちは攻撃することで許容範囲を試していると考えている。このような問題に関心を持つ必要がある。子供たちの争いを差し迫った状況にまで悪化させてはならない。