現在多くの国々は、有能で将来性のある専門家達を自分達の国へ招くことを文字通り競い合っており、その条件を緩和し、様々な特典を設けている。サンクトペテルブルク大学経済論講座のエレーナ・ヤコヴレワ教授は、スプートニク日本記者のインタビューに対し「こうしたプロセスは避けられない、恐らく日本は、米国流の『グリーン・カード』導入の道に沿って進むだろう」と指摘し、次のように続けた-
「米国においてハイテク産業が成功した主な要素の一つは、世界中から有能な専門家を集めた事だ。現在トランプ大統領は、若干の国の人々に対し労働ビザを迅速に発行することにブレーキをかけ、それによって米国への学者やエンジニアの流入を減らしてしまった。もしトランプ大統領が、そうしたやり方で、米国人の雇用を守ろうとしても意味がない。学士あるいはそれ以上のレベルの熟練労働者間の失業率は、2,5%に過ぎないからだ。おそらく中国は、そうした政策から利益を引き出そうとしている。先日、中国最大の検索エンジンを提供する企業Baidu(百度)のロビン・リー会長は、才能ある移民が中国の産業において新しいテクノロジーを開発するのを助けるために、ビザ制度を簡素化するべきだと述べた。日本も、同様の道を進んでいる。そもそも自分の出身国の外で、何百万もの熟練した専門家が、ITやハイテク、科学技術、経済及び金融、教育、医療といった領域で働いている。OECD(経済協力発展機構)加盟諸国内だけでも、高学歴移民の数は、この十年で70%増え、2500万人を突破した。これらの人々のうち、三分の一以上が、博士あるいは博士候補のレベルにある。なお移民の五分の一は、中国やインドそしてフィリピン出身者だ。」
「日本はこれまで、安い労働力が国内に入るのを積極的に抑えてきた。今回できた新しい法律は、外国人熟練労働者の数を増やすことに向けられているが、一方で、未熟練労働にたずさわる外国人の流入をコントロール下に置くことにも向けられている。
完全な自動化が行えない多くの職種があり、日本人自身が働きたがらない多くの仕事もある。例えば、工場での手作業による組み立て、道路工事、野菜の洗浄、病人の介護といったものだ。まさにこうした場所に、働き手が求められており、不本意ながら日本政府も、一定数の外国人を国に入れることを余儀なくされている。ここで優先されるのは、かつて外国に移住した日本人の子供や孫、ひ孫である。その一方で日本人達は、世界の傾向を見守り、国内に『外国の頭脳』を受け入れる米国の経験を真似ようとしている。おまけに、国民の高齢化や出生率の現象がそれを促している。」