日本の憲法改正は必要な措置、それとも安倍首相の長年の戦略?

© Fotolia / Pinbokeoyaji日本の憲法改正は必要な措置、それとも安倍首相の長年の戦略?
日本の憲法改正は必要な措置、それとも安倍首相の長年の戦略? - Sputnik 日本
サイン
5月3日は日本の憲法記念日。70年前のこの日に日本国憲法が施行された。この間、憲法が改正されたことは一度もなかった。だが現在、安倍首相と有権者の約半数が憲法改正を求めている。一方で「民進党」や「共産党」などの野党は、憲法9条の改正を断固として拒否している。

スプートニク日本

安倍首相は読売新聞のインタビューで、その平和的性質は維持したままで憲法を改正をして自衛隊を明記し、2020年に試行を目指す方針を表明した。安倍首相は5月1日、憲法改正に向けて国会で議論を前進させるべきだとの考えを示した。また首相は憲法改正草案について「どんなに立派な案も、衆参両院で3分の2を形成できなければ言っているだけに終わってしまう。さらに、国民投票で過半数の賛成を得なければ憲法改正は実現できない」と述べた。NHKが報じた。民進党と共産党は、連立を組む与党の自民党と公明党に衆参両院の議席数で大きく下回っている。世論については、今年4月30日に実施された世論調査によると、反対37%に対し60%が憲法改正を支持しており、9条の改正は賛成が49%、反対が47%となっている。

朝鮮半島有事で「日本が放射能雲に覆われる」=北朝鮮 - Sputnik 日本
朝鮮半島有事で「日本が放射能雲に覆われる」=北朝鮮
2015年に海外での戦闘行動を可能とする自衛隊の権限拡大に関する法律が可決されるまで、日本では米国の軍事紛争に巻き込まれることを恐れた平和主義者たちの激しい抗議が展開された。しかし今は、頻繁になる北朝鮮のミサイル実験を背景に、日本のメディアは現実的脅威の雰囲気を高めている。対北朝鮮強硬派の論拠とは、日本は軍隊を持たず、自衛以外には戦わないと記されている戦後の平和憲法は、実際のところ国に手をこまねさせており、これは北朝鮮による潜在的ミサイル攻撃の深刻な影響を伴うというものだ。安倍首相は、日本にとって北朝鮮の脅威は「新たな段階」になっているとの見方を示している。

ロシア科学アカデミー極東研究所日本研究センターのヴィクトル・パヴリャテンコ上級研究員は、「外交政策の面で憲法改正は日本にメリットをもたらすことはなく、ただ問題をつくるだけだ。国際社会や、特に当時日本の侵略の犠牲となった隣国は、このような行動を軍事・政治的戦略の見直しとして評価している。中国や韓国の否定的な反応が予測できる」との見方を表している。

元駐日ロシア大使で、現在はモスクワ国際関係大学で教鞭をとるアレクサンドル・パノフ氏は、憲法を改正する必要は特にないとの考えを示し、次のように語っている-

「憲法では軍事力の拒否が宣言されているが、実際には存在している。紛争などを解決するために戦争する権利は否定されているが、軍事ユニットとしての日本は深刻なものではなく、非常に脆弱だ。ロシアにとって日本側からの脅威はない。日本は北海道に部隊を配置しておらず、我々の国境には近づいてはいない。ロシアは潜在的な敵ともみなされていない」

なお極東研究所日本研究センターのワレーリー・キスタノフ所長は「スプートニク」のインタビューで、リスクは常にあると述べ、次のように語っている-

プーチン・安倍会談 山積する問題の討議に全部でさしで3時間 - Sputnik 日本
プーチン・安倍会談 山積する問題の討議に全部でさしで3時間
「自衛隊は、世界で最も技術的に先進的な装備をもつ軍の一つとなった。そのためリスクは常にある。安倍氏は一貫して日本を一人前の軍事大国に様変わりさせるための政策をとっている。安倍氏は2006年に防衛庁を防衛省に移行した。そして防衛省は存在するが軍はないという矛盾が生じた。だが実際のところ自衛隊はすでにずいぶん前から軍となっている。だが法律上はまだそうではない。安倍氏は、今は憲法によって禁止されている空母、戦略爆撃機、弾道ミサイルなどの完全な装備一式を持つ一人前の軍を持つことを望んでいる。安倍首相は衆参両院で圧倒的多数の議席を確保した。国民投票で人々がどのように投票するかを予測できる人は誰もいないのではないだろうか。最近まで憲法改正の反対派は賛成派を上回っていた。しかしここ最近、社会の風潮に変化が生じている。そして部分的にこれらの変化は人為的に強められている。安倍氏は中国の脅威に対抗する必要性、中国の軍事力増強、領有権を主張して争っている島々に関する中国の侵略的意図などを繰り返し主張している。そして今、北朝鮮のミサイル・核実験に関連したヒステリーがある。この2つの要因が、気分の変化を引き起こした。これが憲法改正につながると述べるには時期尚早だが、この方向で明確な目的を持った作業がきわめて集中的に進められている。だが疑問が残っている。日本が軍事大国へ様変わりすることを米国が許すか、それとも許さないか?ということだ。また日本は米国の「核の傘」から抜け出すことを望むのか、それとも望まないのか?ということだ。その確立は少ないが、もしそうなった場合、これは予測不可能な結果を伴う現象となるだろう」。

専門家らは、憲法改正を目指す安倍首相の粘り強さは、北朝鮮の計画や中国の軍事力の増強に対する懸念、アジア太平洋地域を米国が守っているという解釈が原因となっているが、自国の国益がその1番の理由だと考えている。だが日本の隣国が、これは偉大な大国のステータスを取り戻すためだと考えているのは言うまでもない。

ニュース一覧
0
コメント投稿には、
ログインまたは新規登録が必要です
loader
チャットで返信
Заголовок открываемого материала