2017年末までだけで、いすゞは約500台の大型トラックを組み立てる考えだが、これはスタートとしては十分に野心的な数字である。ここで指摘しておくべきことは「いすゞRus」が絶えず、ローカリゼーションの推進に取り組み、できる限り地元の自動車メーカーで部品を調達しようと努めてきた点だ。ウリヤノフスク州のセルゲイ・モロゾフ知事は「我々は日本を優先的パートナーとみなしており、共同プロジェクトの実現化に興味を持っている。投資家が、十分な給与が払われる新しい働き口を作り出すという自ら負った義務を果たす事を、私は疑わない。」
いすゞが、ロシア市場に登場したのは2006年のことで「ソラーズ」社と合弁プロジェクトを始めた。しかし2016年1月、日本の株主達は「ソラーズ」の持ち株を買い、完全な日本企業となった。株の74%をいすゞが、26%を総合商社の双日(そうじつ)が持っている。ロシアの通信社「アフトスタット・インフォ」のデータによれば、昨年2016年「いすゞRus」は、外国メーカーの貨物自動車の販売数において7.8 %もの伸びを見せ、第一位に輝いている。ちなみに第二位は、スウェーデンのScania、第三位はドイツのMANだった。
「いすゞRus」マーケッティング部長エフゲーニヤ・ボルノキナさんは、スプートニク日本記者のインタビューに応じ、次のように述べている-「いすゞの車は、ロシアのあらゆる地域で需要がある。我々のディーラーネットワークは、すでに52を数えている。これは幅広い改良型を持つ頼もしいトラック・メーカーとして、いすゞがよく知られているためばかりではない。我々が恐らく、様々な目的別の上部構造を据え付け可能で、様々な負荷容量のシャーシーを提供する唯一の会社だからだ。そうした多様な可能性に、価格と品質とのバランスが妥当なことがプラスとなり、あらゆるビジネス部門からの需要が保証されている。いすゞのトラックは、建設用のものからゴミ収集車まで、市場のあらゆるセグメントを網羅しているが、やはり一番多く使われているのは、様々な用途での輸送用トラックだ。
いすゞはこう主張しているが、1976年からロシアの大型トラック市場をリードしてきたカマズ側はそうは考えていない。スプートニク日本記者のインタビューに応じたカマズのオレグ・アファナーシエフ報道部長は、次のように述べている-「我々は、大型トラックを生産するメーカーのすべてを自分達のライバルとみなしている。我々は、たいへん注意深く、そうしたメーカーの動きを見守っており、彼らのあらゆる長所や短所を考慮している。もし彼らが、14トンから40トンの大型トラックを生産するのであれば、我々は彼らと一つのセグメントで活動する事になり、市場で彼らがライバルになることは言うまでもない。これは何も、いすゞに限ったことではない。」
今年2017年「いすゞRus」は、ロシア市場で一連のニューモデルを発表する計画だ。ISUZU NMS85のシャーシーを持つ全輪駆動車や、ISUZU NPR82/CNG.のシャーシーを持つガスエンジン車だ。それ以外に今年、一連の自動車のエンジンが、EUの環境基準に合ったユーロ5に完全に移行する。またロシア市場で、いすゞが期待をかけているのは何も大型トラックばかりではない。会社の中期計画においては、バスの生産も視野に入れている。まだ生産開始の時期について、指導部は明らかにしていないものの、ウリヤノフスクで組み立てられるバスが、ロシア全土を走り回る日がいつか来るに違いない。