露日双方の関心を最も集めたのは、南クリル(日本で言う北方領土)沿岸海域での生物資源開発の諸提案だった。会合をまとめて、サハリン州のコジェミャコ知事は、次のように述べている-「クリルでは、現在完全には利用されていない海産物資源や養殖の発展に向けた工場建設プロジェクト実現の用意ができている。日本側には豊富な経験があり、我々は、南クリルにおいて、双方にとってプラスな形でそれが利用されるよう望んでいる。日本側の参加があれば、水産加工や農業、鉱業や保健医療、観光の分野でのプロジェクトも実現に向かうだろう。」
またサハリン当局は、6月末さらにもう一つの日本のビジネスミッションのクリル訪問に向け準備中だ。クリルでこの代表団は、ロシア側と共に現地で、いくつかのプロジェクト実現に関連した諸問題を調査検討することになる。
歴史学者で国立人文科学大学のデニス・フォミン-ニロフ学長は、スプートニク記者の取材に対し「係争領土の共同利用にはモデルがある」と指摘し、次のように述べた-「第一次世界大戦まで、ロシアとノルウェーは、北極海のスバールバル諸島について領有権争いをしていた。1920年、国際共同体参加のもとパリ条約が結ばれ、それに従ってノルウェーが『この島々に対する完全かつ絶対的主権』を得た。しかし、この条約の締結国双方は、島で合法的なあらゆる経済活動をする権利を持った。そして1931年から、まずソ連、今のロシアの企業『アルクチクウゴリ』が、有用鉱物の採掘を始めた。
来週にも、ロシア議会上院・連邦会議の代表団が日本を訪れる。団長は、上院国際問題委員会のコンスタンチン・コサチョフ委員長である。彼の意見によれば、露日関係は長い停滞のあと、協力プロジェクト実現について話し合い、一連のケースで、それらの実現に向け取りかかるチャンスが生まれている。代表団は、議会及び経済産業省などの省庁で会合を持つ見込みだ。
なお露日ビジネスカウンシルのアレクセイ・レピク議長は、次のように指摘している-「ロシアと日本は、互恵的協力の新しいモデルの構築と経済的協同行動の新しい原則作りに自分達の努力を集中させた。つい2、3年前には、両国の経済界が、かくも積極的に、情報テクノロジーや製薬、農業、都市環境整備、先端工業技術領域での共同融資プロジェクト実現について計画するなど、想像もできなかった。現在すべてが、実現の方向に向かっている。」