週刊「ロシアから見た日本」6月5日から11日まで プーチン大統領「クリルでの米国のMDシステム関連施設の出現は 絶対に受け入れられない」

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情報通信社レグヌムは、6月4日「ペテルブルグ経済フォーラムでのプーチン発言を日本人は『喜ぶ』べきか」と題する記事を発表した。 その中でロシアの専門家らは「クリルの島々の非軍事化を達成する事は出来るが、そのためには、アジア太平洋地域全体の緊張のレバルを下げる必要がある」とのプーチン大統領の言葉を、様々に解釈している。

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ロシア極東研究所日本調査センターの指導者ワレーリイ・キスタノフ氏は「ロシア大統領のそうした発言は、日本人を喜ばすに違いない。なぜなら一定の条件があれば、日本への南クリルの譲渡が許されるという事だからだ」との見方を示し、日本側もクリルの島々の非軍事化に真摯な関心を抱き、ロシアとの関係を損なわないよう島への米軍部隊駐留を望んでいないとの確信を明らかにした。

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クリル問題:係争中の領土をいかに共同利用するか?
一方、東方諸国研究所のアナトリイ・コシキン教授は「喜ぶのは早い」と考えている。教授は、大統領の「もしクリルが日本に渡ったら、そこに米軍部隊が配備される可能性がある。この事は、日米間の合意から導き出されるものだ」という発言に注意を促した。

北朝鮮の脅威から国を守る事を口実に、韓国が自国領内への米国のミサイル防衛システムTHAADの配備を始め、日本も、その配備に傾きつつある中、韓国や日本国内の米軍基地が強化されることにより。地域のパワーバランスに違反が生じている。

コシキン教授は「ロシアは、米国及びその同盟国が、クリルからの脅威を作り出すようなことを許しはしないだろう」とし、プーチン大統領の次の発言を引用した-「そうした条件の中で我々は、明日クリルに他の国の軍事基地あるいは米国のミサイル防衛システム関連施設が生じると予測するような事さえ、絶対に受け入れられない。」教授はさらに「まさに遠く離れたこの地でのロシア辺境防衛のために、今年末までに、クリルにさらに1師団が配備されるのだ」と強調し、すでに島々には沿岸用ミサイル複合体「バスチオン」及び「バル」が戦闘任務に就いている事に注意を促した

週刊「ロシアから見た日本」5月29日から6月4日まで「2017年度第一4半期露日貿易取引高 25%増加」 - Sputnik 日本
週刊「ロシアから見た日本」5月29日から6月4日まで「2017年度第一4半期露日貿易取引高 25%増加」
ロシアのマスコミは、6月2日に東京で行われた日本・グルジア(ジョージア)首脳会談にも注意を向けないではいられなかった。4日付の新聞「プラウダ」は「日本人はグルジアとアプアハジアを別の分類に」と題する極東研究所のアンドレイ・オストロフスキイ副所長へのインタビュー記事を掲載した。この会談の結果、日本は、アプハジアと南オセチアの領土を自分達の管理下に戻したいとするグルジアの立場を支持した。その際ロシアには、南オセチアとアプハジアに対する独立承認を撤回するよう勧告がなされた。オスロロフスキイ副所長は、これに関して「果たして日本人は、グルジアの軍隊が、深夜眠りの中にあった南オセチアの首都ツヒンバリを攻撃し、一晩でこの共和国の市民の3%を殲滅した2008年夏の出来事を、覚えているのだろうか、自分には関心がある」としている。当時ロシアは、大部分がロシア国籍を持っていた地元住民の防護に立ち上がり、5日間の戦いの後、南オセチア領内からグルジア軍を追い出した。またアプハジアの住民の80%も、この時期までにロシアのパスポートを所持していた。両共和国政府と国民の要請に応じて、ロシアは南オセチアとアプハジアの独立を承認した。現在南オセチアは、ロシア連邦への編入問題の是非を問う国民投票を準備中である。同共和国のアナトリイ・ビビロフ大統領は「ロシア連邦の主体に戻りたいという南オセチア国民の願いは、オセチア人が南北に分断された1920年代からずっと存在している」との確信を述べている。オストロフスキイ副所長は「2008年8月にグルジアの戦車が侵入し、ツヒンバリの通りにいた罪もない女性や子供そして老人をグラッド・ミサイル(多連装ロケット発射システム)で攻撃した時ではなく、なぜ今になって日本が、南オセチア人の運命に懸念を示したのか」驚きを隠せないでいる。なおこうした事の前に、グルジア軍の砲撃隊は、あらゆる国際法及びロシアとグルジア間で結ばれた二国間合意に違反して、南オセチアに合法的に駐留していたロシアの平和維持部隊に攻撃を加えた。それによりロシアの平和維持部隊員11人が死亡、30人以上が負傷した。

プーチンは南クリルの主権を日本に渡すつもりはないのか? - Sputnik 日本
プーチン大統領は南クリルの主権を日本に渡すつもりはないのか?
またオストロフスキイ副所長は、日本がウクライナ紛争に介入し、その中に「ロシアの痕跡」を見つけ出そうと試みている事にも驚きを示している。彼は、次のように主張している-「ウクライナ当局に自国内での内戦を止めるよう求めるのが理性的だろう。日本の公然たる嫌ロシア的態度は、日本の政策にいかなる利益をもたらすのだろうか? おそらくこれは、南クリルにおける彼らの要求の活発化と関係している。その場合、彼らは、負けることが分かり切っている。ロシアとは、争わず、友好的に付き合うほうがよい。」

日本は時折、余り友好的ではない行動をとるが、ロシア側は、日本と建設的に交渉してゆく用意がある。こうした立場について、ロシア外務省のマリヤ・ザハロワ報道官が、極東メディアサミットで明らかにした。8日付の新聞「ラシースカヤ・ガゼータ」が「露日 クリルでの共同経済活動に関し打ち合わせ続く」と題する記事の中で、報道官のブリーフィングでの次のような発言を引用している

「ロシアと日本は、南クリルでの共同経済活動の詳細について打ち合わせるため、対話を行っている。日本側が提起している具体的なイニシアチブの打ち合わせをした後で、専門家レベルで、それを実施する法的枠組みが決められるだろう。日本政府は、クリル海域での漁業資源の探査や水産物加工、インフラ整備、地熱エネルギー、建設、エコロジー、観光など幅広い方向性を持った領域に参加してゆく意向だ。」

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