安倍首相支持率下落:日本の軍国化に世論は反対?

© AP Photo / Yoshikazu Tsuno安倍首相支持率下落:日本の軍国化に世論は反対?
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5月末に、安倍首相は、その在任日数が第1次内閣を含めて戦後3位となったが、6月に入り、自身の支持率の方は、最悪の数字を更新しそうだ。先月5月、日本経済新聞の調査では、安倍首相の支持率は56%まで下がったが、NHKと朝日新聞が6月に実施した最新の世論調査によれば、さらにかなりの低下を見せ48%と半数を割った。とはいえ、今のところ2015年夏に記録した最低の支持率40%にまでは落ちていない。

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しかし、自身の最低支持率を更新するチャンスが、毎日高まっている事は、もう明らかだろう。しかし安倍氏の支持者達は、少なくとも野党に比べれば、現状は悪くないと見ている。NHKの5月の調査によれば、安倍氏が総裁を務める与党自由民主党の支持率は38,1%,、一方それに続く野党第一党の民進党は、わずか6,7%に過ぎない。首相支持率が30%を切って初めて、恐らく自民党首脳部は本気で心配し始めるのだろう。

支持率のこうした落ち込みは、安倍氏が打ち出した一連のイニシアチブと関係があるようだ。あらゆることから判断して、世論は、それらを気に入っていない。そうしたものの中には、犯罪の計画段階でも処罰の対象とする共謀罪の趣旨を盛り込んだテロ等準備罪を新たに設ける組織犯罪処罰法改正案、2020年の日本国憲法見直し、さらには加憲による自衛隊の地位の確認などが含まれる。5月の日本経済新聞の世論調査では、組織犯罪処罰法改正案には44%、憲法改正には43%、自衛隊の地位確認には51%の日本国民が賛成した。これを見ると、安倍首相を支持する人々の一定部分が、彼の政策に同意しておらず、その割合が、7から8%とそう少なくないことが分かる。

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埼玉大学社会調査研究センターの責任者、松本正生(まさお)教授(政治意識論)も、そうした見解をお持ちで、教授は「安倍首相への支持率安定には、先が見えない不安のなかで、今の状況がこのまま続いてほしいという現状肯定感があった」とし「支持率の低下は、アクセントが経済問題から安保問題に移ってから始まった」と指摘されている。

安倍首相のイニシアチブの公式的な説明について言えば、それらは社会的安全の保障に向けられている。例えば、2017年3月から活発に討議されている犯罪準備に対する罰則強化についての法案は、2020年に東京で開催される夏季五輪の参加者やゲストの安全を保障するための措置だと説明されてきた。

また日本の自衛隊の地位を変更する事については、南スーダンでのように国連の使節として、外国での平和維持活動や反テロ活動に参加する法律的権利を得るためだとの説明がなされている。

しかしそれでもやはり、日本の世論は、こうした問題に慎重な態度を示している。組織犯罪処罰法改正案に対する世論の懸念は、この法案の文言が大変曖昧なことにある。解釈の幅の広さが、政府に、事実上あらゆるグループ、ほぼすべての個人を起訴に持ち込むことができる、中でも、特別に組織されたスパイ的秘密扇動行為の可能性がある場合、厳しい罪に問う事ができる、優れたツールを与えてしまう。

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それと同時に、日本国憲法を変えようという、特に固有の軍隊の創設と戦争実施の権利の放棄を含む第9条を変えようという試みも、かなり大きな嫌悪感を呼び起こしている。日本の軍隊が国際的な作戦に参加する権利を持つようになれば、多くの点で、何らかの戦争に加わってゆく障害はなくなるだろう。例えば、アフガニスタン戦争は、2001年から、公式的に国際レベルで、反テロリスト平和維持作戦とみなされている。例えば、北朝鮮に対し起こり得る軍事作戦も、国連で平和維持作戦としての法的地位を得る可能性があり、反テロ作戦として承認されるかもしれない。経験に照らしてみれば、そうなっても少しもおかしくない。

それゆえ安倍首相の政策の中には、少なくとも、日本社会のある部分にとって、国をゆっくりと軍国化へと引っ張ってゆくものが感じられ、不快な様々な恐れを呼び起こすのだろう。名前は違っても、かつての憲兵隊がパブリック・セキュリティやインテリジェンス・エージェンシーという名のもとに、復活するのではないかというわけだ。一般の人間にとって、特別大きな違いはない。

おそらく安倍氏には、遠く将来を見越した目論見はない。しかしそれでも安倍首相のイニシアチブは日本の軍国化を目指す政策と、ある程度類似性を持つ。その事が言うまでもなく、彼のイニシアチブへの世論の支持を下げているのだ。今後一定の条件のもとでは、それが、安倍内閣の支持率がさらに急激に下落する、原因となる可能性もありうる。

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