露中合同演習「海上協力2017」は、7月末に始まる。中国海軍の艦艇は、サンクトペテルブルクおよびカリーニングラードでのロシア海軍との演習のため、すでに海南省の港から出港した。新華社通信が報じた。だがなぜ日本は、露中の合同演習にこれほどの注意を払うのだろうか?
専門家らは、軍事分野におけるロシアと中国の急接近が、日本の心配の種となっているとの見方を示している。この春、米議会の中国に関する諮問委員会は、「中国とロシアの軍事協力は前例のないレベルに達した」と発表した。特に、これはアジア太平洋地域全体における米国の安全保障システムにとって新たな深刻な脅威をつくりだしていると指摘された。そのため、日本の安全保障にも大きく影響する可能性がある。
一方、日本に関するロシア人専門家のワレリー・キスタノフ氏は、現状における露中の軍事協力の強化は、ロシアと中国の抑止を目的とした米国の先例のない積極的な行動に対する反応にすぎないため、全くもって当然の措置だとの見方を示し、次のように語っている-
これは極東でも行われている。米国は極東で、その領土にミサイル防衛システムTHAADを配備している韓国との協力を強化している。
THAADが北朝鮮のミサイル・核プログラムの抑止を目的としているというのは、口実にすぎない。第一に、同システムの強力なレーダーは中国に対して向けられている。なぜなら中国の地域を奥深くまで見渡すことができるからだ。なお日本も部外者ではない。
同じ日本海で、日本の自衛隊は米国との共同訓練にヘリ空母を参加させている。ここでも口実は、北朝鮮だ。だが北朝鮮に対する米国の最新の原子力空母3隻は、金正恩氏がどんな脅迫をしたとしても、ばかげている。
これが第一に極東でのロシアと中国に対する力のデモンストレーションであることは明らかだ。そのためロシアが何もせずに傍観しているのではなく、何とかこれに対応しようとしているのは、驚くことではない。そしてもちろん、この点に関してロシアの唯一の同盟国は中国だ」。
古森氏は、防衛政策分野での違いと、伝統的な相互の不信感により、事実上、両国の間に同盟関係が生まれるための前提条件はなく、もしどちらか1方が攻撃された場合、もう1方は共同防衛の形で支援するだろうとの考えを示している。
ロシアの専門家らは、露中の演習は対抗措置にすぎないと強調している。加えてロシアは日本との軍事協力のために開かれている。
最近行われた「2+2」フォーマットでの露日の閣僚会議には、ロシアのラヴロフ外相と日本の岸田外相のみならず、ロシアのショイグ国防相と日本の稲田防衛相が出席した。
ラヴロフ外相は、どこかの国に対抗するためにロシアが別の国と仲良くし始めることはなく、日本と中国を含む、特定の国々の間に存在する意見の相違を自国の利益のために利用しようとしたことも一度もないと繰り返し強調している。なおキスタノフ氏は、だがロシアと中国の架空の脅威があるうちは、両国の軍事協力は深まる一方であろうとの見方を示している。