ロシアの日本専門家、ロシア高等経済学院のアンドレイ・フェシュン准教授は、この合意はまさにEUにとって意義のあるものであり、よもや日本にとって意義のあるものとは思えないと話す。「米国とのTTP交渉は棚に上げられ、近い将来にこれが締結されることはないだろう。なのでEUは、自分達が必要以上に作りすぎた製品を輸出できる先を探している。日本はその候補先の一つだというわけだ」
EUが日本の消費者に提供したがっているのはどのようなものか?ユーロコミッションの資料によれば、EPA協定によって、EU管内の食品の日本への輸出が、170-180パーセントの成長、もしくは100億ユーロ規模に達するということだ。また化学産業製品の日本への輸出も、4から22パーセント増または7億から30億ユーロ、電子機器は1パーセントから16パーセント増または2千万から6億5千万ユーロになるとみられている。フェシュン氏は、このような表に出ている数字はいぶかしく、合目的性が疑われるという見解を示している。
「もし世界の半分を横断して脱脂粉乳を運ぶというならまだわかる。なぜなら現在、ほとんどずべての牛乳は粉末から作られているからだ。しかしEUから日本に肉を運ぶとなると、最低でも冷やすか冷凍しないといけない。それは肉の質を最低でも半分程度に下げてしまう。日本の消費者はじゅうぶん気難しいので、そういう商品が広く売れるとは思えない。ロシアと、とは言わないが、東南アジアや中国というような近場の供給国と協力する方が日本にとってずっと得だろう。電子製品について言うなら、日本こそ、自国内で、様々なシステムのための完璧な商品を作っているではないか。はっきり言えばヨーロッパは、そういう状況を打破したいと思っているのだ」
フェシュン氏「ヨーロッパにおいて日本の自動車販売は、もう長いことずっと勢いがある。日本はヨーロッパ市場における存在感をもっと広めたいと思っている。まさにこれが日本側の主目的なのだ。この関係で、八方手を尽くして、ヨーロッパ大陸における自動車生産が最適化されているのだ。車の外装にかける費用は減っているし、エンジンは統一化されている。そして、わかりきったことだが、最大限、電動エンジンにもそれは適用されていく」
日本はEU諸国と同じように、TPPが棚上げされたことによって、新しい二者間の経済協定を始めなければならなくなった。この協定締結においては両者とも、自陣営側の物品が、貿易品の多数を占めることを望んでいるのだ。
【予告】スプートニクは、ある出来事に対しての、様々な観点からの意見をご紹介する。来週は、「EPA協定は大いに利益をもたらす」と見なしている別の専門家の意見をサイト上で発表する。