「麻生太郎氏は、日本の元総理大臣であり、2008年から2009年に日本政府を率いた人物だ。すなわち自国の歴史のとても繊細な部分を考慮する必要のある非常に高いレベルの政治家だ。日本は第二次世界大戦やナチズムと何らかの形で関係しているすべての犯罪と常に限りなく距離をとるべきだ。なぜなら一部の国は、日本が同国の軍国主義時代の犯罪を完全に悔恨したとは考えていないからだ。これは日中関係や日韓関係、またフィリピンを含む東南アジアの複数の国々との関係において未だ難しい問題となっている。日本の元首相で現在は副首相兼財務相が、たとえそれが遠回しだったとしてもヒトラーの活動に肯定的な見方を示したならば、中国や韓国メディアが反日宣伝のためにいつかそれを取り上げることは間違いなく、日本は軍国主義を悔い改めなかったと再び証明するだろう。そして日本のあらゆる強化は、必然的に軍国主義の復活を意味することになる。したがって麻生氏の発言は、誰かの感情を傷つけたというだけでなく、日本の外交政策や世界における日本の外交政策のポジショニングにとっても非常に大きな打撃だ」
麻生氏の不用意な発言はこれが初めてではなく、日本には麻生氏の失言をまとめたサイトなども登場しているほどだ。そこでは「さっさと死ねるようにしてもらうとか、考えないといけない」「アルツハイマーの人でもわかる」「金正日に感謝しないといけないのかもしれない」などなど、数々の失言が紹介されている。他の政治家ならば議員辞職に追い込まれそうなものだが、麻生氏の破天荒なキャラクターは国民の間で有名なので、「またいつもの失言か」と日本人は冷静に受け止めている。しかし諸外国はこの失言を真剣に捉えたり、あるいは日本批判の材料にする可能性がある。ミルザヤン氏は「特に日本は今、トランプ大統領や米国への不信を含む様々な理由で、より独立した自主的な外交政策を目指している。中国あるいは韓国のマスコミが麻生氏の発言を取り上げ、メディアで大きく報道されるのは時間の問題でしかない」と話す。もちろん日本政府はなんとかしてこの事態の収束を図るだろう。
「ワイマールに関する発言は、当時の憲法改正をめぐる議論の中で言及された。これもデリケートで難しいものだった。だが今回麻生氏は、ヒトラーの目的は大まかには正しく、その手段が間違っていたと事実上述べたことになる。しかしヒトラーの目的がドイツ民族に優越感を抱かせて民族主義国家を形成することだったのは周知の事実だ。これは日本のナショナリズムと非常によく似ている。なぜなら日本の軍国主義時代、朝鮮文化は事実上禁止されたからだ。朝鮮人には日本の名前が与えられ、ハングルも事実上禁止された。日本は、他の民族の文化を差別する政策を行ったということになる。もちろん日本は今、全く別の政策を行っているが、そういったことが日本の歴史の一ページにあったのは確かだ。そして麻生氏はヒトラーに関する発言によって、軍国主義という過去の亡霊を事実上蘇らせようとしている」
社民党幹事長の又市征治参議院議員も諸外国への影響を懸念し「ナチス・ドイツの独裁者をひきあいに政治家の心構えを説くのは言語道断であり、断じて許されない。ドイツやフランス、イスラエルでは、ホロコーストを否定し、ナチスを支持するような一切の発言や表現は法的に規制されている。麻生氏のドイツの『負の歴史』に関する無理解にあきれるばかりである。国際的にも問題を生じさせかねない」と話す。また又市氏は、「麻生氏の度重なる暴言・妄言の背景には、国民の声を無視し暴走を続けるアベ政治そのものの体質がある」と指摘している。