一体、日本は北極圏にどのような関心をもっているのだろうか。日本研究センターのヴィクトル・パヴリャテンコ研究員は、自身の見解をロシア通信社「ナショナル・ニュース・サービス(NSN)」の8月30日付インタビュー記事『日本は北極で特権的な立場を望む』の中で示した。
「北極圏に対する日本の関心は極めて具体的なものです。それは、アジアを経由してヨーロッパに到達するための最短であり、それ故に最も収益性の高いルートのことです。この北極海航路を利用するにあたり、日本は特権的な立場を取りたいと考えているのです。また北極圏は鉱物資源も豊富で、その埋蔵量は今後100年分に相当すると言われています。」
パヴリャテンコ氏は、北極分野で更に緊密な提携を望む日本政府の声が、強まる対ロシア制裁を背景に出されていると強調しつつ、「日本はG7メンバーとして対ロシア制裁方針に従わなければなりません。しかしその一方で米国は、自国にとって収益性が見込める都合のよい分野に関しては、禁則事項を全て無視してロシアとの協力関係を継続しています。このようなダブルスタンダード的な政策はよくあることです。日本は今後、北極分野でロシアと提携するため、制裁への加担を回避できる方法を探すことになるでしょう」と指摘した。
同氏の見解をあたかも証明するかのように、8月29日~30日にヤマル半島サベッタ村で行われた北極評議会第7回加盟国会合に日本の代表団も出席した。これについては、ロシア政治経済紙「コメルサント」の8月30日付の記事「日本の投資家がヤマル事業に参加予定」でも取りあげられている。会合冒頭にヤマロ・ネネツ自治管区のドミトリー・コブィルキン知事が述べたところ、ヤマル半島の投資事業は、世界で最も有望なプロジェクトの一つ。実際のところ、現時点における2025年までの投資総額は1000億米ドルを超えている。ヤマル半島に世界各国から既に60社もの企業が集まり仕事を進める中、日本の投資家たちは利益を取り損ねないためにも急ぐ必要があるだろう。