米谷氏は、同フォーラムについて「効率的に多くの話ができる有益な場であり、毎年参加することで、昨年話したことの進捗を共有でき、継続性が生まれます。また来年も会えるという前提があれば、その間各々で様々な取り組みができ、物事がより前に進むと感じています」と評価した。
米谷氏は「ロシアはジェトロの事業の中でどういう優先順位か?と聞かれたら、最も優先的に力を入れる取り組み対象のひとつです」と話す。その言葉の通り、ジェトロのロシアビジネス支援は手厚い。昨年12月からロシアデスクを設置し、中堅・中小企業を対象にロシア展開支援事業をスタートした。これに申し込むと、ロシア市場に精通した専門家のアドバイスを無料で受け、出張同行や戦略立案などのサポートを得ることができる。需要増に伴い、7月から専門家の数も増やした。また、理事長を含むジェトロ幹部のロシア訪問も多く、関係者は「これほど幹部が現場に出る国は珍しい」という。
ジェトロは登録・利用とも無料の国際ビジネスマッチングサイト「TTPP」を運営している。日本にいながらにして、売買案件や業務提携など、将来のビジネスパートナーを探すことができる仕組みだ。米谷氏は「ジェトロは近日中、このTTPPにロシア特集ページを設け、ロシア企業からのオファーが一覧できるようにします。また、サービスをロシア企業に積極的に活用してもらうため、ロシアの関係機関を通して利用の拡大を呼びかけていきます」と話す。ロシア側の利用者がTTPPに英語で入力すると、ジェトロが翻訳サービスをしてくれるため、日本語でオファーが読めるなど、利便性にも配慮がなされている。
米谷氏「ロシアの公的機関の代表者と会ってみると、ビジネス機会に関わる推進事項やロシアが力を入れている項目についての話があり、なぜ日本企業が来てくれないのか?と言われることがあります。しかし、日本企業に関心を持ってもらうためには、そういった情報を直接知ってもらうことが大事です。ロシアの関係者は自ら日本へ来て、情報を広めるべきです。渡航計画を知らせてもらえればジェトロが日本企業にご案内し、セミナー開催などの手助けをすることもできます。もちろん一回の訪問で契約が結べるわけではありませんが、まずは知ってもらうことから始めなければいけません。また、ロシア自身も認識し、改善中ではありますが、行政手続きはいまだに煩雑ですし、制度変更にどう対応すればいいかわからない、といった声が聞こえてきています。実際にロシアビジネスに関わっている日本企業の体験を『良い体験』にしていくことで、ロシア進出の拡大につながるのではないかと思います」