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イベントにはスペシャルゲストとして作庭家の針原成吉さんが招かれ、日本庭園の現代の傾向について講義を行なったほか、日本庭園の松を実際に手入れし、熟練された技を華麗に披露した。針原さんが池のほとりの育ちすぎた松をカットすると、すっきりした松の間から池の光のきらめきがより明るく感じられるようになった。その後、景色を遮断していた池の脇の植物の茂みをなくすと、植物が育ちすぎて見えなくなっていた石が出てきて、池の風景が一層風情のあるものになり、感嘆の声が漏れた。針原さんは「水際を綺麗に見せるように、庭全体の構成を考えて維持することが大切」と指摘する。
© 写真 : Asuka Tokuyama / Asuka Tokuyama手入れを行う針原さんとそれを見守る人々
手入れを行う針原さんとそれを見守る人々
© 写真 : Asuka Tokuyama / Asuka Tokuyama
桜のシーズンには、お花見に訪れる人で日本庭園に行列ができる。日本庭園が開園する前、当時の外務大臣だった安倍晋太郎氏が桜を植樹しており、安倍晋三首相も桜を植えた。現在、二本の桜は小径をはさんで向かい合わせに立っている。日本庭園は、裏千家のお茶会など、日本文化を感じるイベントの場でもある。
日本庭園のキュレーターで、30年前に日本庭園ができた時から携わっているエレーナ・ゴロソワさんは言う。「日本庭園は植物公園の入り口から2キロも歩かなくてはならず、場所が良いとは言えません。しかしここを訪れる人は、わざわざ日本庭園を目当てに来るのです。30年間ずっと、そうやって多くの人が来てくれることは非常に評価できることです。作られた当時の姿を維持できるように頑張っていますが、ときどき専門家に来てもらう必要があります」
300ヘクタール以上の敷地を有する植物公園には、日本庭園のほかにも様々なコンセプト・ガーデンがあり、56年の歴史を誇る「ばら園」もある。ばら園の責任者リュボーフィ・ブンべーエワさんは、「ロシアでも日本でも、植物が常に手入れを必要とし、人間がそれに応えないといけない、という点では全く同じです。育ちすぎた植物を必要な時期にカットするべきという針原さんの指摘に心から賛同します」と話している。
このイベントの参加者は一般から募った。ホームページ上でわずか2週間という応募期間だったにもかかわらず、200人もの参加希望があった。ロシア人は植物や花が大好きなのだ。ダーチャ(ロシア人の多くが所有している夏の別荘)で庭の手入れをするのが癒しになるという人も多い。最年少の参加者は13歳のアナスタシア・タラセンコさん。アナスタシアさんは日本のアニメがきっかけで日本が大好きになり、日本人の世界観・価値観を学ぼうと思い、参加した。
イベントを終えた針原さんは、「とても熱心に話を聞いてもらえました。今回の事業に私が参加したことで、ロシアと日本の関係がさらに深まる助けになれば光栄です」と話している。
© 写真 : Asuka Tokuyama / Asuka Tokuyamaワークショップの様子
ワークショップの様子
© 写真 : Asuka Tokuyama / Asuka Tokuyama