天間氏はみちのく銀行ハバロフスク支店や北海道銀行ウラジオストク駐在員事務所勤務などを歴任した経験から、中小企業がロシアに進出する際に障壁になるポイントを熟知していた。2015年10月の北海道総合商事設立とともに社長に就任し、翌年1月から本格始動。代金決済や物流、言葉の問題などのロシアビジネスにおける困難を、ワンストップでサポートする仕組みを作った。これに対し、ロシア展開を希望しているがやり方がわからなかった企業が次々と反応し、問い合わせが相次いだ。さらにウラジオストクにも子会社「ペガスHC」を設立。現地法人があることで情報収集がよりスムーズになり、大手商社にはない、きめ細かいサービスを提供している。
天間氏は「ロシア側から、北海道産品や寒冷地技術に非常に興味を持ってもらい、現実的な商売につながっています。潜在的にロシア展開を望んでいた企業を我々がサポートすることで、ここ一年半くらいで一気に広がりが出てきました」と話す。日露両政府による経済協力の活発化という背景もあり、ビジネスを進めていく上で良い雰囲気ができている。
温室野菜栽培を通してヤクーツク市との信頼関係が深まった結果、新しいプロジェクトも生まれた。北海道総合商事は、ロシア中の市長を悩ませている重要課題・ごみ問題の解決に乗り出すため、ヤクーツク市に焼却炉を無償提供する。以前は、広大な土地があるためにほとんど環境に配慮してこなかったロシアだが、最近ではエコに対する問題意識が高まってきているのだ。
8月末に新潟市内で開催された「日ロ沿岸市長会議・日ロ沿岸ビジネスフォーラム」においても、出席した極東シベリア地域の市長らが最も熱心に視察していたのが、長岡市にある「生ごみバイオガス発電センター」だった。地域のニーズにマッチした環境に優しい小型焼却炉は将来、ヤクーツクだけでなく、ロシア全土のごみ問題を大きく改善させてくれるだろう。