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トランプ大統領とは異なり、安倍首相が日本とイランの関係を政治的ではなく、より経済的な立場から見ている可能性はあるのだろうか?ロシアの東洋学者、歴史学者、政治学者、国際関係の専門家であり日本研究者のドミトリー・ストレリツォフ氏は、安倍首相の外交政策は現在ひときわ実用的な性格を有しており、まず第一に日本の国益に基づいているため、政治的な立場を排除することはできないとの見方を示し、次のように語っている-
これは世界における米国の主導権が弱まっていることと関係している。同時に日本の経済的ニーズも多くにおいて変わっていない。これは1980年代からイランの動向と関係しており、日本はそれを用いてエネルギー資源の多様化戦略を実現してきた。イランとのエネルギー資源の供給に関する合意は、サダム・フセイン時代に締結された。
だが2010年に対イラン制裁が発動され、日本はイラン市場へ進出する可能性を失った。米政府は、「アザデガン」油田をイランの核開発と関連付けた。米国の圧力にさらされた日本はイランに対するアプローチを見直し、イランの核開発に関する協議では親米の立場を取らざるを得なくなった。そしてイラン指導部は「アザデガン」油田開発の日本の独占権の存続期間を延長する意向はないと発表した。ストレリツォフ氏は、次のように指摘している-
イランとの核合意が締結され、ついに対イラン制裁が解除された時の日本企業の喜びや活気は理解できる。日本の企業代表団もイランを頻繁に訪れるようになった。それはイランが再び国際的な経済関係や貿易の完全な参加国になるという大きな期待があったからだ。
このような状況の中で、アジア太平洋地域における米国の主要な戦略的同盟国である日本は、純粋に自国の経済的利益のために米国の意見やG7の結束した立場に反対の姿勢をとることができるのだろうか?ストレリツォフ氏は、過去にはそのようなケースがあったと述べ、次のように語っている-
1970年代に日本は米国に反対の立場をとった。当時も日本の根本的な経済的利益に関するものだった。それは1972年にスタートした田中氏の多面的外交だ。その時、日本はアラブ諸国を支持し、結果的にイスラエルに反対の立場をとることになった。日本は米国が反対したにもかかわらず、実行した。この行動は日本の経済的利益と信頼性のあるエネルギー資源の確保に関するニーズに基づくものだった。
同時にイランは今もサウジアラビアに次いで石油輸出国機構(OPEC)2位の産油国だ。さらにイランには約33兆1000億立方メートルの天然ガスが埋蔵されており、ロシアに次いで世界第2位だ。
はたして日本はこれを今後10年間の経済発展戦略で考慮せずにいられるだろうか?この問いに対する明確な答えはない。いずれにせよ、安倍首相がイランを訪問するまではわからない。