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西ヨーロッパでは、「死の研究」は社会学として一般で認められており、学会が開かれ、専門書も出版されている一方で、ロシアではこうした研究はこれまで行われていなかった。スプートニクは今回、「死の研究室」の創始者でこの分野の第一人者であるセルゲイ・モホフ氏にマイクをむけ、老化の意味づけ、デス・ツーリズムや人体冷凍保存などをテーマに対談を試みた。
スプートニク:「研究室の創設に至った経緯と、この分野が注目されている理由を教えてください。」
スプートニク:「研究室ではどういった見地から死が研究されているのでしょうか?」
モホフ氏:「分野が幾つかありますが、その中でも主流なものは3つです。エンディング産業、ホスピスの動向、死にゆく人への救済です。これらの分野では、親しい人を亡くした人がその死を受容していくこと、死と自分自身の終わりの意味づけていくプロセスの文化、死への恐怖、孤独などが研究されています。我々研究者は、専門家らで構成されたコミュニティができ、現代社会で人間が人生を終えることに関連した重要な問題に向けられるようになることを望んでいます。」
スプートニク:「2005年からロシアの企業『クリオルス(KrioRus)』が、いつか蘇生されることを期待して、人や動物の遺体を冷凍保存にするというサービスを合法的に展開しています。現在、54人の遺体と20匹の動物の遺体が冷凍されています。この技術に対してはどう思いますか?」
21世紀における新しい技術の急激な発展も、今までとは違った死生観へのアプローチを必要としています。例えば、ロシア人女性が、亡くなった友人に似せて創り出したチャットボットがFacebook上に存在するという事実にどう接するべきなのか?もし故人の記憶や体験を何らかの媒体に記録できるとしたら、それは有益となるか、それとも有害となるか?もし、予定されているとおり、2020年には人間の頭を他の体に挿げ替えられるようになっていたら、そのふたりの命と生物学的な死との境界線をどこに引くことになるのか?そのような問題の解決の試みが、これからロシアの研究所でも始まるわけです。