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興味深いことに、わずか1年前には一連のロシアの政治家が仮想通貨を「悪」だと呼んでいた。ロシア銀行は、クリプトルーブルなど発行されないと発表し、財務省は、代替通貨の発行に対する処罰を厳罰化するよう提案していた。当局の見解を180度ひっくり返したものは何なのか?スプートニクのインタビューを受けたロシアのインターネット・オンブズマン、「Radius Group 」社のドミトリー・マリニチェフCEOが語った。
仮想通貨はあらゆる領域で機能するようになり、いかなる形の金を持ち歩くことも要求せず、盗まれることもない。ブロックチェーン技術と仮想通貨を基にした構造においては、汚職は存在しない。造りとして不可能なのだ。そしてこれが将来において可能になるのは、まさに私たちの生活への仮想通貨の浸透のおかげなのだ。」
真剣なプレーヤーの仮想通貨への態度が変わったのは、非常に信頼のおける企業数社が「新規仮想通貨公開」(ICO)を行ってからだ。主要な仮想通貨が辺縁の市場から文明化されたチャネルに向かい漂っていることが明らかになったのだ。マリニチェフ氏の企業の株を保有する持株会社ロシア・マイニング・センター(RMC)が最近、ICOで資金を調達し、4320万ドル(約49億円)を集めた。RMCは資金を、マイニング効率を数十倍に上げると見られるマイニング・プロセッサ「Multiclet」の開発に向ける。
これはブロックチェーン技術に基づいた一大分野だ。そして私は、この分野における生産、設備の設計という分野をロシアで作り出し発展させ、雇用を生むだけでなく、ブロックチェーン技術を解する上に、ソフトウェアを開発し、この分野で働ける世代を育てるという課題を自らに定めた。
「まだこのアイデアは実現には程遠いが、原発付近に採掘センターを設置することは大きな利点がある。国営ないし私営マイニング工場の創設という話ではなく、保証された電力供給で保証された消費者として原発付近に施設を設置する可能性を作り出すという話だ。現在このプロジェクトは審議段階にあるが、真剣な投資のためには仮想通貨やマイニングなどを規制する法的基盤が不可欠だ。基盤は投資家たちに保証を与え、ビジネスによる自らの展望を理解させる。」
日本は、ビットコインなど仮想通貨に支払手段としての地位を率先して与えた国の1つだ。日本の経験はロシアで役に立つだろうか?マリニチェフ氏によると、この経験はすでにロシアの立法府によって研究されている。
最初の仮想通貨、ビットコインが現れたのは2009年。ビットコインを作り出したのはナカモト・サトシという名前を用いた個人ないし複数人からなるグループだ。現在に至るまで正体は明らかでない。だが、アイデアは革新的なもので、追随者がすぐに現れた。暗号通貨の創設は安価で容易だったのだ。仮想通貨の発行は国家に管理されておらず、匿名で行われる取引の目的を尋ねられることもない。仮想通貨の取引は安全だ。取引記録を改ざんするとデータにズレが出るため、その後の取引の記録全てを改ざんする必要があるが、ブロックチェーン方式が用いられている場合、ネットワーク参加者全員のコンピューターに取引記録が保存されており、全てのコンピューターをハッキングしてデータを改ざんすることは現実的ではないためだ。また、仮想通貨の発行量はインフレを防ぐため、数学的に計算され制限されている。