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では今回、中国はどのような中期的展望を自らに描いたのだろうか。それは明らかに、国際社会での自国の立場の強化と外の世界への影響力拡大である。これについては習近平総書記(国家主席)がはっきりと述べている。「今後中国は国際政治の中心により近づき、人類の活動に対しより大きく貢献する」、さらに中国は「地球規模での統治機構の改革と発展における積極的な役割」を果たし、そして「自らの独立を維持しながら自国の発展を加速させようと望む国々と国民に対する新たな選択肢」を中国は提示すると習氏は述べ、そのような国々とは国際問題にアプローチするための中国の英知を共有する用意がある、とした。
現在まで中国は、対外政策においてそれほど積極的でなかったとしても、経済の分野では、少なくともアジア太平洋地域では、「第一バイオリンを弾いて」きた。2007年から2016年までの期間で、中国経済は106%も成長した。一方、米国は9%だけである。2016年、中国の工業製品輸出額は1兆9900億ドルに達し、世界第7位の割合を占めるまでになった。中国は巨大な外貨準備高を保有し、大量の熟練労働力を擁している。世界経済が自らの生産能力の本質的な部分を中国国内に集中し続けているのには理由があるのだ。だが最近は中国経済の成長率は一段と悪化し、世界経済も不安定な状態になっている。米国は、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)をめぐる問題で中国からの支持を期待しているが、為替レートや米国債への投資をめぐる米中摩擦は解決していないままだ。日本や他の国々との領土問題も残っている。中国から、例えばインドへの企業移転の波が起きる可能性も財務アナリストらによって指摘されている。
最後に、技術革新、デジタル技術、ロボット技術、人工知能の分野を集中的に発展させることに特別な注意が払われた。中国は人工知能の開発において、世界をリードしようとしているのだ。
全体として、習氏が党大会で述べたように、中国には「新時代」が訪れつつある。そして、それは全世界の地政学に影響を与える可能性があるのだ。