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暗殺コーポレーション
CIAが黒幕に立った政治的暗殺の歴史はジャーナリスティックな解明本に多く描かれている。米政治ジャーナリストのアレクサンダー・コックバーン氏が2009年に出した『暗殺コーポレーション』 ("A Damned Murder Inc.")や米上院が1970年代行った捜査書類を見れば一目瞭然だ。
1961年、ルムンバ首相は同志と共に銃殺され、穴に埋められた。これら遺体は数日後、事実を隠蔽するため発掘され、ルムンバ氏の遺体は切断され、硫酸で溶かされた後、焼却された。ルムンバ氏の暗殺はCIAとベルギー特務機関が関与したものだった。ルムンバ氏は汎アフリカ主義的ナショナリズムを唱えて左翼の関心を集め、ソ連へ偏る姿勢をとっていたことが災いして消されたのだ。
ドミニカ共和国の大統領となったトルヒーヨ将軍の暗殺は大統領の反対派によって行われた。ところが公開されたCIAの機密資料から、暗殺には「CIAと殺害者のかなり幅広い関係」があったことが明るみになった。
コミッティの進言と圧力を受け、ジェラルド・フォード大統領は外国の指導者の暗殺に携わるか陰謀を企む者の利用を禁ずる大統領令11905に署名した。この項目は後にカーター大統領の出した大統領令12036にも、レーガン大統領が1981年に出した大統領令12333にも、ブッシュ・ジュニア大統領の出した2つの大統領令13355と13470にも入れられた。
この間、NPOの試算ではドローンによるテロリスト殲滅で最多で900人の一般市民が犠牲になったとされている。アフガニスタンで起きた操作ミスでは結婚式に出席していた全員が火の海に包まれた。
暗殺、殲滅の重要なツールとしては特務部隊の攻撃も依然として使われている。2011年、国際テロ組織「アルカイダ」の指導者だったビンラディン、「ダーイシュ(IS)」の金庫番役のアブ・サイヤフの殲滅を思い出せば明らかだ。これらの人物は米国の法律や米大統領の出した指導者暗殺に関する大統領令の枠の外に存在している。
手段は問わない
だがCIAも、北朝鮮領内の多極化された作業を活性化すれば、米国内に潜伏する北朝鮮のエージェントの報復措置を間違いなく招くことを念頭に入れないわけにはいかない。これが理由となって米国が北朝鮮指導者の暗殺を行うことはまずありえない。血気盛んな声明や軍事演習といった威嚇の外交処置から対話への移行は米大統領府は考えていない。自分のほうから一歩後ろに引き下がることになるからだ。それでもこれ以上緊張を高めることはあまりにも危険だ。米国は単に、この先何をすべきかわからないでいるのだ。
対話は可能か?
このふたりの女性は記者団に対し、対話を行う構えにはないと断言していたが、会議に参加したある朝鮮問題専門家は匿名で、両者のコンタクトは会議開催前日にモスクワで行われたと語っている。別の消息筋は会談があったかどうかについてはコメントをさけ、ただこの2人の外交官は「昔から親交がある」と指摘し、会議参加者のために木曜に開かれた豪華なレセプションの席には体調不良を理由に二人は出席していなかったと付け加えている。スプートニクが会議組織側とコンタクトをとったところ、組織側は両者の会談については否定はせず「会談を行う可能性はあったが、実際、成立したかどうかははっきりとは言えない」と回答している。ひとつ明確なのはコンタクト再開の時はすでに到来したということだろう。