スプートニク日本
イベントに参加した市内の中学生は3チームにわかれ、物体の拡大図を見て、それが何なのかを予想するゲームをしたり、自分の髪の毛を観察したり、顕微鏡につなげたコンピューターを操作してみたりと、初めて見る電子顕微鏡に興味津々だった。
アルチョム君(中1)「写真あてクイズが楽しかったです。数学や英語、幾何学が好きなので、将来の夢はまだわからないけど、理系の大学に進みたいです」
ロシアではソ連時代から医者やエンジニアとして女性が活躍し、今でも「リケジョ」が多いお国柄だ。この日も女の子の参加者が目立った。
電子顕微鏡には高性能な電源や、顕微鏡内を真空に保つ機能が不可欠なので、一般的には大がかりな設備が必要だ。しかし今回の出前教室に使われた卓上タイプの電子顕微鏡 「TM3030Plus」は、オフィス机に置けるというコンパクトさから、教育・研究機関だけでなく、工場などにも導入されている。インターラボのイーゴリ・パヴロフスキー社長によると、ロシアの顧客は特に品質・信頼性・利便性を評価しているという。
会場となったメンデレーエフ大学のアレクサンドル・マジュガ学長も、子どもたちへの理科教育支援に賛同する一人だ。大学名になっているメンデレーエフとは、元素の周期表を考案したロシアの化学者だ。
メンデレーエフ大学には中高生向けに夜間の化学・数学学校がある。定員は500人で、通常授業が終わった後で大学にやってきて、自分の好きな分野を勉強できる。大学の中に学習塾があるようなイメージだ。学内には、ロシア科学アカデミーと連携した化学カレッジもある。こういった校種の垣根を越えた連携が、基礎研究に強いロシアを支えているのだろう。現在、受験生に一番人気があるのは薬学部だという。
ロシアにおける第2回目の理科学教育は来春にも開催予定。次回は大幅に規模を拡大して実施される。