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大学1年生の周文音さんは恋愛ゲーム「ラブ&プロデューサー(恋与制作人)」のバーチャル彼氏にすでに100元(約1700円)以上つぎ込んだ。関係を次のレベルに上げるため、デジタル金貨とバーチャルジュエリーを手に入れる必要があった。金が惜しいとは思わなかったという。周さんはサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙のインタビューに、バーチャル彼氏が携帯に電話をかけてきて、「WeChat」でメッセージを交わし、バーチャルデートを楽しんでいると述べた。実際の彼氏はいない。バーチャルでも彼氏がいることは良いことだと彼女は述べた。一方、周さんが計算したところ、次のレベルに行くためには1万6000元(約27万円)のプレゼントを購入する必要がある。そのため、周さんはロマンチックなバーチャルリアリティが実際の物質的限界を打ち破れるか、確信がない。
「恋与制作人」は長い間App Storeでダウンロード数首位に立っていたファンタジー風のオンライン対戦アプリ「Honour of Kings」の人気すら追い抜いた。配信開始から1週間で同アプリは30万元(約518万円)をもたらした。ゲームは基本無料だが、キャラクターのアップグレードのためアプリ内課金が用意されている。
この現象が女性比が非常に低い国で起きていることは興味深い。統計によると、中国の女性100人に対して男性は116人。つまり、3000万人以上の男性は女性の恋人を見つけられないことになる。人口動態的状況からは、女性は相手を選ぶ余地が元々あるように思われる。しかし彼女らはバーチャル彼氏を選ぶ。SNSの普及とともに若年層はより多くの時間をサイバー空間で過ごすようになっている。中国精神衛生学会員で国家2級心理カウンセラーの肖雪萍氏は、多くの人が現実の交流から隔絶され、生身の人間に気持ちを表現するすべを知らないと指摘する。
だが、こうした状況はビジネスには好都合だ。男性向けゲームで市場が飽和状態にある中、開きつつあるニッチは非常に大きな将来性を持つ。女性向け製品が多く作られるほど、開発者の懐を温める用意がある孤独な女性がより多くなる。