スプートニク日本
報道が何らかの具体的な実現プランに基づくものなのかを明らかにしようと、スプートニクはロシア鉄道公開株式会社の広報担当とロシア国立研究大学経済高等学院輸送経済・輸送政治研究所のパーベル・ジュジン氏に話を伺った。ちなみに、ロシア鉄道は世界の鉄道会社で3指に入る。
ロシア鉄道は「最終決定まで」コメントを控えると回答した。
「ケルチ海峡にかかるクリミア大橋建設完了後、ロシアでは新たな橋の建設に不可欠なパワーが空く。製造業者との物流チェーンも構築され、今度は極東の作業につながる可能性もある。さらに、プロジェクト第一部の実現は、日本の投資家のサハリン-北海道橋建設への将来的な関心のための不可欠な条件であり、土台だ。」
— このプロジェクトに関してすでに行われたことはあるか?調査や費用算出は?
「サハリンから本土に橋を建設する候補地はコムソモリスク・ナ・アムーレの北東約500キロにある。20世紀半ば、本土とサハリン間のもっとも狭い場所である地峡ですでにトンネル工事、そしてコムソモリスク・ナ・アムーレから地峡に向けて地下鉄線の工事が進められていた。つまり、こうした工事のさいに調査はすでに行われており、ゼロからの工事であってもその調査は有益だ。」
「プロジェクトの初期費用は仮の数字として5000億ルーブル(約8843億円)と見積もられた。この金額では120キロ以上の地下鉄線を敷設できる。おそらく、ロシアは現段階で極東の輸送複合体とインフラに投資する用意があるのだろう。この地方は輸出上の真剣な潜在能力を秘めているからだ。地下鉄道線を備えた橋は同様の役割を果たすだろう。つまり、1年中サハリン港とバイカル・アムール鉄道(編集部注:バム鉄道、東シベリアと極東にある鉄道で、太平洋に出るロシア第2のシベリア鉄道。総距離は4300キロ。)を結ぶ。バム鉄道は太平洋への出口を手に入れる。」
— ロシアにとって経済的妥当性は明らかだが、日本の投資家がサハリン-北海道橋プロジェクト第二部の実現によって得られるだろうメリットは何か。
サハリンと北海道を結ぶ直接陸上交通はロシアから日本、そして反対の流れの全輸出ロジスティクスを簡略化するだろう。そして同時に石炭輸送の際の環境状況を両国で改善するだろう。現在は多段階の石炭積み直し(まずは沿海地方で陸上から海へ、その後は日本で船から陸上へ)が行われているが、石炭は非常に埃をたてやすいため、良い環境を促進するものではない。
ラ・ペルーズ海峡(宗谷海峡)を通るサハリン-北海道橋は50キロ程度の長さになる可能性がある。これは、すでに日本が60〜80年代にかけて実現した北海道と本州を結ぶ交通路より短い。日本の投資をこの自動車道・鉄道橋に結びつけることは、サハリン州の発展のみならず、北海道の新たな経済発展を促進するだろうとジュジン氏は期待を寄せる。