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これらのデータによると、平壌の近くにある研究施設で、液体燃料で作動するICBMが1基、あるいは2基さえ製造されたという。問題になっているのは恐らく、長距離を飛行できる能力を実験過程で示した北朝鮮初のミサイル「火星15」だろう。これに先立ち、北朝鮮が秘密施設「カンソン」でウランを濃縮し続けていることを米情報機関が暴いたとされている。先週にはポンペオ米国務長官が、北朝鮮の複数の工場では、核兵器製造の際に利用される可能性がある「物質の分裂プロセスが続いている」と述べている。
「これは、紋切り型の『反トランプ』的立場を取る米メディアによるニュースだ。そして、そのようなメディアには、トランプ大統領の名誉を傷つけるあらゆる情報が必要なのだ」と、極東研究所・朝鮮研究センターのコンスタンチン・アスモロフ主任研究員はスプートニクに対して述べ、以下のように話している。
「米国には、北朝鮮分野で正常に活動できる可能性がない。米国は衛星から監視しているが、衛星から全てのものが見えるわけではない。あるいは、越境者や韓国人からの情報を利用しているが、この情報は何らかの形で招かれた、極めて偏ったものである可能性があり、常に正確だとは限らない。首脳会談で達成された合意について話せば、これは道のりの最終地点ではなく、長期にわたる外交プロセスの始まりなのだ。というのも、即時の非核化というものは存在しないからだ。プロセスが安定したものであるためには、半島非核化の道のりで遭遇する複雑な状況を、相互に受け入れられる形で解決する方法の探索に向けた、当事国双方の安定した政治的意思がなければならない」。
「政権の一部は、北朝鮮政府に接近する政策に反対を表明しており、彼らの間では陰謀が存在している。現在のプロセスを邪魔する目的で、北朝鮮が自国の核開発や、自国のミサイルシステムの改良作業も続けていると主張する情報のリークが行われている」。
トロラヤ氏は以上のように説明した上で、「義務を負わせるいかなる合意も存在しないため、北朝鮮政府には今のところまだ何もしない権利がある。そして、それにもかかわらず、北朝鮮は既に一定の措置を行いつつある。とりわけ、自国のミサイル発射場を解体し始め、軍事的活動を一時停止している」と付け加えている。
共同通信による報道では、北朝鮮は7月初め、朝鮮半島非核化の統一計画作成に取り組むことになっていた、米国との共同作業部会の設置を拒否した。共同通信によれば、共同作業部会の設置という一歩を踏み出すことを北朝鮮政府が望んでいないことは、非核化問題に関する両国の立場における相違を物語っている。つまり、米国が迅速で完全な非核化を望んでいる一方で、北朝鮮は段階的アプローチを主張しているというのだ。
北朝鮮政府が、米側からの対応措置を期待している可能性も排除されていない。シンガポールでのトランプ大統領と金委員長の会談の総括として、米国は北朝鮮に安全の保証を提供すると約束した一方、北朝鮮政府は朝鮮半島非核化に向けた自らの献身的姿勢を確認したということを指摘しておきたい。
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