日本や他の国々で政府が労働時間を短縮しても、皆が喜んでいるというわけではないのは何故か?

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日本政府は、労働人口による過重労働について真剣に懸念し、「働き方改革」を始動させた。日本の厚生労働省による検査の結果、検査された企業(2万5千社超)のうち、ほとんど半数の企業の社員の残業時間が、1カ月あたり80時間(つまり、法律に基づいて定められているよりも2倍長い時間)を超えていた。一部の企業では、この指標が1カ月あたり310時間を上回ってさえいた。このことは、もちろん、健康にとって大きなリスクである。そのため、数年間にわたる議論の後、日本の国会は7月、1人あたりの月間残業時間を100時間まで、年間では720時間までに制限する法律を可決した。法律に違反した企業に対しては、罰金が適用されることになる。この法律は、大企業では2019年4月、中小企業ではその1年後に発効する。

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この法律を制定しようとの提案は、「過労死」のケースを未然に防ぐことなどを目的としている。日本は、恐らく、1987年以降にそのような死亡例の統計が公表されている唯一の国だ。ただ、社会では、公式の数字は過小評価されたものだと考えられている。過労死を食い止めること以外にも、安倍首相は、労働時間の短縮が労働生産性を向上させることに役立つとの期待を示したが、実際にどのような形で役立つのかについては説明していない。これまでに多種多様な措置、例えば、毎週金曜日には少し早い時間に職場を去ることを許可したり、電通が夜10時の消灯や残業基準の引き下げに着手したりといったことが行われたが、然るべき効果はもたらされなかった。

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だが、日本人の勤勉さについて全世界で語られているにもかかわらず、労働時間の長さに関する記録保持者となっている国民は、日本国民ではない。2017年における労働時間の年平均の長さに関する経済協力開発機構(OECD)の統計では、順位表で上位を占めているのはメキシコで2257時間、その後に続くのがコスタリカ(2179時間)、韓国(2024時間)、ギリシャ(2018時間)、ロシア(1980時間)、チリ(1954時間)、ポーランド(1895時間)、イスラエル(1885時間)などとなっている。一方、この時間の長さが最も短い国々はドイツ(1356時間)、デンマーク(1408時間)、ノルウェー(1419時間)、オランダ(1433時間)、フランス(1514時間)。比較調査は2000年から世界の38カ国で実施されている。OECDによると、統計上平均的な日本人が2017年に職場で過ごした時間は1710時間。この数字は、2000年の時よりも111時間少ない。

だが、統計と現実は別物である。1990年代の後半以降、日本における臨時雇いの従業員の数は増大し、一部の分野ではほとんど40%に達している。このような従業員のうち、大多数がパートタイムで働き、1時間単位で給料を受け取っている。このことが、全体では1日あたりの労働時間の長さが短くなりつつあるとの幻想を作り出している。一方で、臨時雇いの従業員による労働に対して、常に相応の賃金が支払われているということでは全くない。そのため、被雇用従業員にとっての残業とは、仕事中毒というよりは、追加収入を得たいという願いなのだ。

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まさにこの理由によって、働き方改革は残業時間の規制だけではなく、同一労働同一賃金の原則に基づく臨時雇いの従業員に対する賃金改善にも関わっているのだ。

日本とほとんど同時に、最長労働時間を1週間あたり68時間から52時間にまで制限する法律が、韓国でも承認された。ところが、この新たな試みについて皆が喜んでいるというわけでは全くない。一部の人々は、設定されているよりも長い時間働くことを企業が強制し続けるものの、違法行為になるとの理由で残業手当の支給については継続しないという事態を懸念している。他の人々はと言えば、残業時間が総じて制限されることに不満を抱いている。

残業は日本に固有のものではなく、若き「アジアの虎」たち、つまり、経済が急成長を遂げつつあるアジア太平洋地域諸国にも、西洋世界にも、広範な性格は帯びていないものの、特徴的なことである。そして、様々な国々で、それぞれの過労死が起きていると、ロシア高等経済学院(HSE)労働法学部のエレーナ・ゲラシモワ准教授は考えている。

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「労働時間の長さの短縮は、人的資源の保持を目的としており、この傾向は地球規模の性格を有している。アイルランドやフランスでは、1週間あたりの労働時間は35時間ずつとなっている。スウェーデンでは、政府が週30時間労働制の導入を議論している。その論理は以下のようなものだ。1日あたりの労働時間がより短くなれば、職場に注意を集中することが可能になる。その代わりに、スポーツや趣味に費やしたり、家族と過ごしたり、子供の面倒を見たり、独学に取り組んだりできる時間が増える。そして、その後で、休養して元気を回復し、精神を集中させ、より生産的な労働に向け準備ができた状態で職場にやって来るのだ。それに加えて、このことは経済の非生産セクターにおける収入の伸びを促進する。つまり、時間が自由になれば、人々はサービス分野でも買い物にお金をより多く費やすのだ。もちろん、この改革はどこでも順調に行われているというわけではないが、徐々に人々の認識は変わりつつあり、残業労働は受け入れられないものであると考えられ始めている」。

労働時間の長さを短縮する構想は、中国でも現れた。中国社会科学院は、2030年までに週4日労働制に移行することを提案している。この際には、1日あたりの労働時間の長さを8時間から9時間に拡大させることが予定されている。この提案は、同院会員らによって実施された全国的調査を受けて唱えられた。この調査の結果、中国人の休養時間は米国人やドイツ人の半分で、また、休養に割り当てられる時間は短くなり続けているということが明らかになっていた。

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中国国務院は、既に2015年8月、週4.5日労働制の導入を提案している。さらに2016年には、同国のいくつかの地域がこのような週間予定に移行し始めた。この新事業におけるパイオニアとなったのは、山西省の2つの地方自治体。晋中市の全ての国家公務員(緊急当局の職員を除く)は、1週間あたり2日半ずつ休養するようになった。だが、この週間予定は季節的なもののままで、毎年4月から10月31日まで有効となっている。

ロシアでは、1日あたりの労働時間を1時間短縮しようとの提案が、社会の最も大きな支持を得た。この提案は、「ロシア公共イニシアティブ」のウェブサイトで公開投票のために掲載されている。もし、2019年3月までにこの提案が10万票を集めれば、法案となって議会に持ち込まれるチャンスを得る。今のところ、この構想に賛成票を投じた人の数は3万人余りとなっている。

同時に、仕事に対する態度は、東洋と西洋では互いに異なっている。日本で出来上がった、同僚たちよりも早い時間には家路につくことが許されない習慣(この習慣は秘密の規則となっている)を、どのようにして変えるべきなのだろうか?そして、人が自発的に残業を行っており、仕事を無給で遂行していく準備ができている場合、残業を拒否することをその人に対してどのように強いることができるのか?この人がそうする理由は、もし勤務時間中に課題をこなせなければ、問題が専ら自分自身に潜んでいると確信しているからなのだ。

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