命にとって危険? 反響を呼ぶタクシー事件が同時に数件、世界で議論に

© REUTERS / Issei Katoタクシー(アーカイブ)
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実際、世界における新たなタクシー運行システムは、乗客にとっても、また運転手にとっても、良く整備されていて便利なものだ。顧客にとっては、無料のモバイルアプリケーションを使って車を呼び出せるのが便利で、運転手にとっては、事務所や上司を必要とせず自分に都合の良い時間に働くことができる。競争は激しく、運賃はより安くなりつつある。喜べることだけ、であるかのように見えていた。しかし、運転手が顧客を襲撃するというケースが様々な国で一度に数件発生したことによって、全てについてそこまで楽観できる、というわけではないことが示された。

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8月27日、中国で最大手の全国タクシーオンラインサービス「滴滴(ディディ)」は、乗客の女性が殺害されたことに関連し、ライドシェアサービス「順風車」を全国で一時停止すると発表した。殺人事件は8月24日、浙江省の楽清市で発生。20歳の女性が「順風車」サービスを利用し、昼の2時頃、自分の所在地に関するデータを友人に送り、運転手が車を人のいない山道に向けたと伝えた。さらに5分後、女性から「助けて」とのメッセージが着信、その後連絡が途絶えた。警察は運転手の拘束に成功、運転手は強姦と殺人を行ったことを認めた。

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この事件は、航空会社「雲南祥鵬航空(ラッキー・エア)」の客室乗務員の女性が山東省で殺害された事件の3カ月後に起きた。山東省での事件でも、「滴滴」の運転手が殺人犯であることが判明した。どちらのケースでも、会社は事件に対する自らの責任を認めたが、このことが中国の世論を沈静化させることはなく、自社の運転手を監督する能力が会社に欠如していることを理由に、世論は「滴滴」のボイコットを呼びかけた。

英国では警察が、タクシーのオンラインサービス「ウーバー」に対し、乗客に対する運転手による襲撃を隠蔽していたのではないかとの嫌疑をかけている。問題となっているのは、運転手が乗客を襲撃した2つの事件と、力の行使を伴う6つのセクハラ事件。警察による見解では、ウーバー社は警察に対し、「会社にもたらす評判上の損害が最も小さな」事件についてのみ報告していると、サンデー・タイムズ紙は伝えている。

ロシアでも、この夏、世間を騒がせるタクシー内での事件が数件発生し、被害者らによって公表された。例えば、モスクワに住む女性が今年6月、ウーバーのタクシー運転手が強姦を試みたとして告訴。これより前の春には、ウーバーの運転手が乗客を刃物で脅迫した事件が世論の注意を引いた。ウーバーは遺憾の意と、警察と協力していく用意を表明した。

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一部の国々では、不誠実な運転手による同社への「イージーエントリー」に対抗する方法が見出された。例えばドイツでは、いかなるライセンスも持たないタクシー運転手として働くことを、自動車愛好家らに対してウーバーが提案し、軽快なスタートを切った。複数のタクシー会社がこの提案に憤慨し、旅客輸送免許の志願者に対してドイツで承認されている厳格な基準を引き合いに出して裁判所に訴えた。この国でプロドライバーのライセンスを取得するには、最大で半年かかる。結局、ウーバーは裁判所の決定に基づき、ライセンスを持たない個人ドライバーによるサービスを断念することを余儀なくされた。フランスやイタリア、スペイン、ベルギーでも、状況は似たような展開を見せた。日本では、そもそも最初からウーバーに対し、自社運転手を保有しないよう要求を出している。専ら、プロのタクシー運転手のみを相手にするよう、同社は義務付けられているのだ。

タクシーに関連する不愉快な事態を回避するためには、それぞれの会社に対する信頼度、そして個別の運転手に対する信頼度さえも評価するランキングも役立っている。しかし、全ての予防措置と各社による約束にもかかわらず、人々はそれぞれのサービスに対してますます警戒するようになった。もしかしたら、このようなリスクを回避するには、既に全力でテストが行われている自動運転タクシーが役に立つのだろうか?

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車内のとってもおかしな忘れ物たち Uberが発表
ところが、ここでも、全て順調というわけではない。自動運転車が原因で歩行者が死亡したケースとして最初に知られることになったのは、ウーバーの過失による事故だった。2018年3月、ウーバーの自動運転車が米アリゾナ州テンピ市で女性をはねて死亡させた。この事故は、ロボット化された自動車の発展に対して否定的影響を及ぼし、ウーバー社は、大手自動車メーカーのトヨタと同じように、米国の一連の都市における自動運転車の実験を一時停止すると発表することになった。

ロシア企業「ヤンデックス・タクシー」で自動運転車分野を担当するドミトリー・ポリシチュク氏の見解によれば、人が関わった交通事故が起きることに、人々はみな既に慣れているという。一方で、自動運転車が関わった、歩行者にとって致命的な史上初の事故は、各メディアでトップニュースとなった。「現在、ほとんど全ての大手自動車メーカーが、自動運転の輸送手段に取り組んでいるが、これらのメーカーは情報公開に非常に後ろ向きで、メーカーが達成した成果の評価を行うことは難しい。それでもやはり私は、現時点では自動運転車技術の完全に全てが『生煮え』の状態だと考えている。そして、運転手よりも悪くない走行を車が行えるとの確信が開発者たちの間で生まれないうちは、その車は普通の交通と人々を伴う道路に出されることはないだろう」。

技術的問題のほかに持ち上がりつつあるのは、倫理的問題だ。つまり、複雑で論争を呼ぶような状況において、人工知能は如何に振る舞わなければならないのか、そして、事故が起きた場合には、誰が責任を負わなければならないのか、という問題だ。

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