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世界経済国際関係大学、国際安全保障センターのアレクセイ・アルバトフ所長はこの提案の実現に懐疑的な見解を示している。
「ニュースは間違いなくセンセーショナルだ。私はこれは、プーチン大統領が純粋に善良な気持ちに駆られて行った政治的ジェスチャーだと思う。それに法的には半年内の条約締結は十分に遂行可能な課題だ。
だがこの提案が成功するチャンスがあるかというと、非常に疑わしい。なぜなら日本にとって平和条約とは婉曲法であり、その根底にはまず領土問題の解決ありき、がほのめかされているからだ。それに日本人にとってはこれは原則、民族の尊厳、メンタリティーの問題だ。
ロシアにとってこれらの島を日本に渡すのは同様に原則の問題であるのは間違いない。もし日本側が島の領土要求を取り下げれてくれれば、このパターンはロシアにとっては申し分ないが、そうなると日本の首相には政治的に自分で自分の首を絞めることになり、国内では激しい怒りが渦巻き、反ロシアの極右が勢力を強めるだろう。それにこうした場合には両方が得をするという、いわゆるウィンウィンにはならない。」
モスクワ国際関係大学、東洋学部のドミトリー・ストレリツォフ学部長はプーチン大統領の提案は全体としてロシアの姿勢を反映しているとして、次のように語っている。
「これは完全にプーチン大統領の側からのアドリブだ。プーチン大統領は、ロシアにとって非常に重要な国である日本とまっとうな関係を築くためには平和条約の締結がどうしても必要であることを認識している。
こうした一方でプーチン大統領が領土問題に言及したのもちゃんとわけがある。この解決をプーチン大統領は後に回そうではないかと提案した。つまりプーチン大統領はその解決が日本にとっていかに重要であるかを重々認識しているのだ。
法律上、可能かというと、私は枠組み条約として現在の二国関係の状態をすべて反映した作りにすれば、締結に何の障害もないと思う。領土問題そのものについては、日本側は平和条約の締結と結びつけてはいるが、私はこれは今年だけでなく、来年も解決できるようには思えない。」
フォーラム総会の終了後、日本からは領土問題が未解決のうちはロシアとの平和条約締結は行わないという知らせが届いた。菅官房長官は記者会見で「政府としては北方四島(南クリル諸島)の帰属の問題を解決して平和条約を締結する基本方針に変わりはない」と述べ、プーチン大統領の年内締結に否定的な考えを示した。